115D057|第115回 歯科医師国家試験 過去問
7 歳の男児。上顎左側乳臼歯部の咀嚼時痛を主訴として来院した。 1年前から齲 蝕があることを自覚していたが、歯科受診が怖くそのままにしていたところ、 2か 月前から咀嚼時痛がひどくなってきたという。初診時の口腔内写真 (別冊No. 16A とエックス線画像 (別冊No. 16B を別に示す。 治療方針で正しいのはどれか。 1つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
重度齲蝕の乳歯を保存できるかを画像から判断し、抜歯後の永久歯萌出段階に合った保隙装置を選びます。
解説
7歳男児で、上顎左側第二乳臼歯Eには長期間放置された広範な齲蝕があり、口腔内写真では歯冠が大きく崩壊しています。エックス線画像では根分岐部を中心とした透過像と歯根吸収が認められ、感染根管治療後に確実な封鎖と歯冠修復を行う予後は不良です。このためEは抜歯します。
抜歯後は後継永久歯の萌出まで空隙を保つ必要があります。画像では第一大臼歯がすでに萌出しているため、粘膜下へ延長して未萌出第一大臼歯を誘導するディスタルシューではなく、バンドループを用います。
画像の確認
実画像では、上顎第二乳臼歯の歯冠が大きく崩壊し、エックス線像で根分岐部透過像と歯根吸収、後継永久歯胚を確認できる。隣接する第一大臼歯が萌出しているため、保存困難なEを抜歯してバンドループを装着する正答cが画像条件に合う。
選択肢の確認
a.E感染根管処置後、コンポジットレジン修復
誤り。
Eは歯冠崩壊と根分岐部病変が大きく、コンポジットレジンだけで咬合力に耐える形態と確実な封鎖を回復することは困難です。
b.E感染根管処置後、既製乳歯冠装着
誤り。
既製乳歯冠は広範な齲蝕歯の歯冠修復に有用ですが、本症例では歯根吸収と根分岐部病変が進み、歯そのものの保存予後が不良です。
c.E抜歯後、バンドループ装着
正しい。
保存困難なEを抜歯し、すでに萌出している第一大臼歯を利用できる条件でバンドループにより空隙を保ちます。
d.E抜歯後、クラウンループ装着
誤り。
クラウンループは維持歯に歯冠修復が必要な場合に選択します。本症例では健全な維持歯を大きく削ってクラウンにする必要性が示されていません。
e.E抜歯後、ディスタルシュー装着
誤り。
ディスタルシューは第二乳臼歯を早期喪失し、第一大臼歯がまだ萌出していない場合に、その萌出方向を誘導する装置です。本症例では第一大臼歯が萌出しています。
覚えるポイント
- 乳臼歯の保存可否は残存歯質、根分岐部病変、歯根吸収から判断します。
- 第一大臼歯萌出後の片側性乳臼歯欠損にはバンドループを検討します。
- ディスタルシューは第一大臼歯萌出前の第二乳臼歯早期喪失が代表的適応です。