115A084|第115回 歯科医師国家試験 過去問
舌癌の小線源治療に用いられるスペーサーで予防できるのはどれか。 1つ選べ。
解答・解説を見る
正解: d
正答
d
この問題のポイント
舌癌の小線源治療で用いるスペーサーは、放射線源と下顎骨との距離を確保し、下顎骨への線量を減らすための装置です。主な目的は放射線性下顎骨壊死の予防です。
解説
小線源治療では、放射性同位元素を病変内または病変近傍へ配置し、腫瘍へ集中的に放射線を照射します。舌癌では線源が下顎骨の舌側面に近接しやすく、下顎骨が高線量を受けると、骨細胞や微小血管が障害されます。
その結果、低酸素・低血流・低細胞性の組織となり、抜歯や感染などを契機として放射線性顎骨壊死を発症することがあります。
スペーサーは、舌と下顎歯列・下顎骨の間へ一定の厚みをもたせて介在させます。放射線源から下顎骨を物理的に離すことで下顎骨への線量を低下させ、下顎骨壊死のリスクを減らします。
歯科国試ではここを押さえる
小線源治療用スペーサーは、単なる口腔保護装置ではありません。線源と正常組織との距離を確保して、正常組織の被ばく線量を減らす装置です。
選択肢の確認
a.齲 蝕
誤り。
放射線治療後の齲蝕は、唾液分泌低下、口腔内細菌叢の変化、食習慣、清掃不良などが関係します。小線源治療用スペーサーを装着するだけで齲蝕を直接予防するものではありません。
b.歯周病
誤り。
歯周病の予防にはプラークコントロール、歯石除去、歯周治療などが必要です。スペーサーは歯周病原性バイオフィルムを除去する装置ではありません。
c.舌潰瘍
誤り。
舌は放射線源を留置して治療する対象部位であり、局所の粘膜反応や潰瘍をスペーサーによって完全に防ぐことはできません。スペーサーの主目的は下顎骨など周囲正常組織の線量低減です。
d.下顎骨壊死
正しい。
スペーサーで放射線源と下顎骨との距離を確保すると、下顎骨が受ける線量を低下させることができます。これにより放射線性下顎骨壊死の予防が期待されます。
e.口腔乾燥症
誤り。
口腔乾燥症は唾液腺が放射線を受けることで生じます。局所的なスペーサーは、主要唾液腺全体への線量を制御する装置ではないため、口腔乾燥症の直接的な予防法ではありません。
覚えるポイント
- 小線源治療用スペーサーは、線源と下顎骨を離して線量を低減します。
- 予防する代表的な合併症は放射線性下顎骨壊死です。
- 放射線治療前後には、感染源の除去と継続的な口腔衛生管理も重要です。