119A023|第119回 歯科医師国家試験 過去問
82 歳の女性。左下奥歯に食べ物がはさまることを主訴として来院した。1 年前 から自覚していたがそのままにしていたという。検査の結果、下顎左側大臼歯部の 慢性歯周炎と診断した。患者は1 か月前に軽度のAlzheimer 型認知症と診断され ている。初診時の口腔内写真(別冊No. 2A)、エックス線画像(別冊No. 2B)を別に 示す。歯周組織検査の一部を表に示す。 舌 側* ④ ③ ④ ④ ④ ④ ⑥ ④ ④ 歯 種 5 6 7 頰 側* ④ 3 ④ ④ 3 ⑤ ⑧ ④ ④ 動揺度** 0 0 1 * :プロービング深さ(mm) 〇印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 まず行うのはどれか。2 つ選べ。

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正解: a・c
正答
a、c
この問題のポイント
慢性歯周炎の初期治療では、まず原因であるプラーク・歯石を減らす口腔清掃指導とSRPを行います。
解説
本症例では深い歯周ポケットとプロービング時出血があり、慢性歯周炎に対する歯周基本治療が必要です。口腔清掃指導でセルフケアを改善し、SRPで歯肉縁下の歯石や汚染根面を機械的に処置します。
軽度のAlzheimer型認知症があるため、短く具体的な説明、反復、視覚的手掛かり、必要に応じた家族・介護者の協力が重要です。再生療法や薬物療法は、基本治療後の再評価で残存病変を確認してから検討します。
症例問題の解き方
深いポケット、出血、動揺度を確認し、まず原因除去療法か、再評価後の外科・再生療法かを区別します。
画像の確認
実画像Aでは下顎左側大臼歯部に歯間空隙、歯肉退縮、プラーク付着があり、Bでは同部の歯槽骨吸収がみられる。表でも第二大臼歯頰側に8 mm、舌側に6 mmのポケットと出血があり、まず本人と介助者を含む口腔清掃指導を行い、原因となる歯石・汚染根面へSRPを実施する段階である。
選択肢の確認
a.SRP
正答。まず行います。
SRPは歯周基本治療の中心であり、歯肉縁下の歯石と細菌性沈着物を除去して炎症を改善します。
b.LDDS
この時点での第一選択ではありません。
LDDSは局所抗菌薬を歯周ポケットへ投与する補助療法です。まず機械的デブライドメントとプラークコントロールを行います。
c.口腔清掃指導
正答。まず行います。
口腔清掃指導は原因除去療法の基盤です。認知機能を考慮し、実行可能な方法を本人と支援者に指導します。
d.FGF-2 製剤の応用
基本治療後に適応を検討します。
FGF-2製剤は歯周組織再生療法で用いられます。炎症のコントロールと再評価を行う前に実施する処置ではありません。
e.プロビジョナル固定
この症例でまず行う処置ではありません。
プロビジョナル固定は病的動揺や咬合機能障害が強い場合に検討しますが、原因除去より先に一律に行うものではありません。
覚えるポイント
- 歯周治療は口腔清掃指導とSRPから始めます。
- 薬物療法や再生療法は基本治療後の再評価で適応を判断します。
- 認知機能低下例では家族・介護者を含む実行可能なセルフケア支援が重要です。