119B024|第119回 歯科医師国家試験 過去問
24 歳の女性。下顎左側大臼歯部の疼痛を主訴として来院した。診察の結果、智 歯周囲炎と診断し抜歯することとした。局所麻酔中に顔面蒼白となり気分不快を訴 えた。意識レベルはJCSⅡ-20 であった。AED を要請し、生体情報モニタ装着お よび静脈路確保を行った。このときの生体情報モニタ画面の写真(別冊No. 3)を別 に示す。 適切な対応はどれか。1 つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
局所麻酔中の顔面蒼白と意識低下に加え、生体情報モニタで治療を要する徐脈が示される状況では、アトロピン硫酸塩水和物の静脈内投与を行います。
解説
歯科処置に伴う血管迷走神経反射では、副交感神経活動が亢進し、徐脈、血圧低下、顔面蒼白、悪心、意識低下が生じます。処置を中止し、気道・呼吸・循環を評価して仰臥位とし、酸素投与などを行います。静脈路が確保され、症候性の高度徐脈が持続する場合はアトロピンを投与します。
電気的除細動や胸骨圧迫は、無脈性の心室細動・心室頻拍または心停止に対する処置です。脈拍のある徐脈では適応を区別します。
画像の確認
実画像のモニタでは心拍数28/分、血圧75/39 mmHgと著明な徐脈・低血圧を示す一方、SpO2は97%に保たれている。脈のある症候性徐脈に対してはアトロピン硫酸塩水和物の静脈内投与が適切である。
選択肢の確認
a.電気的除細動
誤り。
電気的除細動は心室細動や無脈性心室頻拍に行います。脈拍を伴う徐脈に対する処置ではありません。
b.胸骨圧迫心マッサージ
誤り。
胸骨圧迫は正常な呼吸がなく脈拍を触知しない心停止時に開始します。脈拍のある症候性徐脈では直ちに行いません。
c.ニトログリセリンの舌下投与
誤り。
ニトログリセリンは狭心症発作などに用います。顔面蒼白と徐脈を伴う血管迷走神経反射に投与すると血圧低下を悪化させるおそれがあります。
d.ニカルジピン塩酸塩の静脈内投与
誤り。
ニカルジピン塩酸塩は降圧薬です。徐脈・血圧低下を示す患者への適応ではありません。
e.アトロピン硫酸塩水和物の静脈内投与
正答。適切です。
アトロピン硫酸塩水和物はムスカリン受容体を遮断して迷走神経作用を抑え、症候性徐脈の改善に用います。
覚えるポイント
- 血管迷走神経反射では顔面蒼白、徐脈、血圧低下を考えます。
- まず処置中止とABC評価を行います。
- 脈拍のある症候性徐脈にはアトロピンを検討します。