115A085第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床小児歯科学

外傷を受けた小児の口腔内写真 (別冊No. 31A 、脱落した歯の写真 (別冊No. 31 B 及び処置後の口腔内写真 (別冊No. 31C を別に示す。 今後生じる可能性が高いのはどれか。 1つ選べ。

115A085の問題画像
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正解: a

正答

a

この問題のポイント

画像では、外傷によって脱落した永久歯が再植され、隣在歯と固定されています。再植歯では歯根膜の損傷により、骨性癒着と置換性歯根吸収が生じる可能性があります。

解説

歯の完全脱臼では、歯根表面の歯根膜細胞が損傷します。再植までの時間が長い場合や、歯が乾燥した場合には歯根膜細胞の生存率が低下し、正常な歯根膜治癒が起こりにくくなります。

歯根膜が広範囲に壊死すると、歯槽骨と歯根表面が直接接触して骨性癒着、すなわちアンキローシスを生じることがあります。その後、歯根が徐々に骨へ置換される置換性歯根吸収へ進行することがあります。

小児では顎骨と歯槽突起の成長が続くため、周囲の歯が萌出しても癒着歯は萌出できません。そのため、経過とともに再植歯が低位に見える低位咬合を生じることがあります。

画像の確認

実画像では、上顎前歯部の空の歯槽窩、完全に脱落した永久歯、再植後に隣在歯へ固定された状態が順に示されている。完全脱臼歯の再植では歯根膜損傷が避けにくく、後に歯根と骨が癒着するリスクがあるため、アンキローシスを選ぶ判断を支える。

選択肢の確認

a.骨性癒着
正しい。
再植歯では歯根膜が広範囲に障害されると、歯根と歯槽骨が直接癒着します。完全脱臼後の再植で生じやすい代表的な晩期合併症です。

b.内部吸収
誤り。
内部吸収は歯髄腔側から象牙質が吸収される病態で、炎症を伴う生活歯髄組織が関係します。完全脱臼後の再植で最も特徴的な合併症は、歯根膜障害に由来する骨性癒着や外部歯根吸収です。

c.歯髄腔の狭窄
誤り。
歯髄腔の狭窄は外傷後の歯髄治癒過程で硬組織形成が亢進した場合にみられ、亜脱臼や側方脱臼などでも生じます。しかし、再植歯で最も可能性が高い変化としては骨性癒着が優先されます。

d.歯髄の石灰変性
誤り。
歯髄の石灰化は外傷後に生じることがありますが、完全脱臼では神経血管束が断裂し、歯根膜も強く障害されます。本症例でまず警戒する晩期合併症は骨性癒着です。

e.セメント質の肥厚
誤り。
セメント質の肥厚、すなわち過剰セメント質は慢性的な咬合刺激、炎症、全身的要因などと関連します。再植歯に特徴的な外傷後変化ではありません。

覚えるポイント

  • 完全脱臼歯の再植後は、骨性癒着と外部歯根吸収に注意します。
  • 歯根膜細胞の生存が予後を左右し、口腔外乾燥時間が長いほど予後は不良です。
  • 成長期の骨性癒着歯では低位咬合を生じるため、長期的な経過観察が必要です。

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