115A064|第115回 歯科医師国家試験 過去問
上顎左側第二小臼歯歯頸部にコンポジットレジン修復を行うこととした。術前の 口腔内写真 (別冊No. 21 )を別に示す。 必要な処置はどれか。 1つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
歯頸部の非齲蝕性病変では、表面が硬く光沢をもつ硬化象牙質が露出していることがあります。接着性を確保するための前処置を判断します。
解説
口腔内写真では、上顎左側第二小臼歯の歯頸部に、滑沢で硬い象牙質面を伴う欠損がみられます。このような長期間口腔内に露出した象牙質では、象牙細管内への無機質沈着や表層の過石灰化が起こり、硬化象牙質となります。
硬化象牙質は通常の健全象牙質より酸や接着材が浸透しにくく、接着強さが得にくいことがあります。そのため、コンポジットレジン修復前に、露出象牙質の表層をバーなどで一層削除して新鮮な象牙質面を出す処置が必要です。
ただし、必要以上に深く削るのではなく、接着に不利な表面層を最小限除去します。歯頸部病変では歯髄との距離、歯肉縁との位置関係、防湿の可否も確認します。
ひっかけポイント
歯頸部欠損だからといって、必ずライニングやプレウェッジを行うわけではありません。写真から、深さよりも象牙質表面の硬化・光沢に注目します。
画像の確認
実画像では、上顎小臼歯の歯頸部に黄褐色で滑沢・光沢のある露出象牙質面がみられる。硬化して接着に不利な表層を示す外観であるため、接着修復前に露出象牙質を一層削除する正答dを支える。
選択肢の確認
a.ライニング
誤り。
ライニングは、深い窩洞で歯髄保護や窩底の被覆が必要な場合に行います。本症例では、写真から深在性窩洞よりも硬化象牙質への接着が主な問題であり、必須の処置ではありません。
b.プレウェッジ
誤り。
プレウェッジは主に隣接面窩洞で歯間分離、歯肉保護、マトリックス適合などを目的に行います。歯頸部の頰側面に単独で存在する病変への基本処置ではありません。
c.レジンコーティング
誤り。
レジンコーティングは、間接修復で形成直後の象牙質を接着材や低粘度レジンで被覆する処置として用いられます。直接コンポジットレジン修復の本症例で、最初に必要な処置を示すものではありません。
d.露出象 牙質の一層削除
正しい。
口腔内に長期間露出した硬化象牙質の表層を一層除去し、新鮮な象牙質面を出すことで、接着材の浸透と機械的保持を得やすくします。
e.デンティンコンディショニング
誤り。
デンティンコンディショニングは、主にグラスアイオノマーセメント修復などで象牙質表面を処理する際に用いられる考え方です。本症例のコンポジットレジン接着で最も必要なのは、硬化象牙質表層の機械的除去です。
覚えるポイント
- 光沢があり硬い露出象牙質は硬化象牙質を考えます。
- 硬化象牙質では接着材が浸透しにくいため、表層を最小限削除します。
- ライニングは深い窩洞、プレウェッジは主に隣接面修復で用います。