115A063|第115回 歯科医師国家試験 過去問
9歳の男児。転倒により上顎前歯部に外傷を受け30 分後に来院した。破折片や 脱臼歯を探したが見つからなかったという。 1に冷水痛と接触痛を認めるが、自 発痛はない。初診時の口腔内写真 (別冊No. 20A、B とエックス線画像 (別冊No. 20C を別に示す。 1の歯髄処置とその後の処置の組合せで適切なのはどれか。 1つ選べ。 その歯髄処置 その後の処置

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
小児の前歯外傷では、歯髄の生活力をできるだけ保存することと、成長期に適した欠損補綴を選ぶことが重要です。画像では、露髄を伴う歯冠破折と、隣在永久歯の脱落を分けて考えます。
解説
9歳の男児で、受傷から30分と短時間です。口腔内写真では、一方の上顎永久中切歯に歯冠破折と小範囲の露髄がみられ、冷水痛と接触痛がある一方、自発痛はありません。これは歯髄が生活しており、露髄後の経過も短いことを示します。
この条件では、歯髄をすべて除去する抜髄ではなく、露髄部を保護する直接覆髄を行い、コンポジットレジンで歯冠形態を回復する選択が適切です。若年永久歯では歯髄を保存することで、根の発育継続と歯根象牙質の厚みの増加が期待できます。
隣の永久中切歯は完全脱臼しており、歯が見つかっていないため再植できません。9歳は顎顔面の成長途中であり、欠損部を固定性ブリッジで補うと、健全な隣在歯の切削や顎の成長への影響が問題になります。このため、成長を妨げにくく調整可能な可撤性義歯を暫間的に用います。
症例問題の解き方
露髄歯については、受傷からの時間、露髄範囲、歯髄症状、根の完成度を確認します。脱落歯については、歯が見つかったか、再植可能か、患者が成長期かを確認します。
画像の確認
実画像では、上顎前歯部に抜歯窩様の欠損があり、隣接する切歯には歯冠破折と小さな露髄点がみられる。エックス線写真では若年永久歯らしい根の発育段階が確認できるため、破折歯では歯髄を保存して直接覆髄・コンポジットレジン修復を行い、欠損歯には成長を妨げにくい可撤性補綴を用いるという正答を支える。
選択肢の確認
a.選択肢a(問題画像参照)
誤り。
問題画像上では、露髄歯に直接覆髄を行う点は妥当ですが、その後に固定性ブリッジを装着する組合せです。9歳では顎の成長途中であり、隣在歯を支台歯とするブリッジは第一選択になりません。
b.選択肢b(問題画像参照)
誤り。
問題画像上では、露髄歯に抜髄を行い、さらにブリッジを装着する組合せです。受傷直後で歯髄生活反応があり、自発痛もないため、歯髄を全面的に除去するのは過剰です。固定性ブリッジも成長期には適しません。
c.選択肢c(問題画像参照)
誤り。
問題画像上では、間接覆髄後にコンポジットレジン修復を行い、欠損部に義歯を装着する組合せです。間接覆髄は露髄していない深在性病変で薄い軟化象牙質を残す場合の処置であり、すでに露髄している外傷歯には適合しません。
d.選択肢d(問題画像参照)
正答。最も適切です。
問題画像上では、露髄歯に直接覆髄を行ってコンポジットレジン修復し、脱落歯による欠損には義歯を装着する組合せです。歯髄保存と成長期の欠損補綴の両方に適しています。
e.選択肢e(問題画像参照)
誤り。
問題画像上では、抜髄後に硬質レジン前装冠を装着し、欠損部に義歯を装着する組合せです。生活歯髄を保存できる可能性が高い症例に対して、抜髄と全部被覆冠は侵襲が大きすぎます。
覚えるポイント
- 若年永久歯の外傷では、可能な限り歯髄保存を優先します。
- 露髄している場合に間接覆髄は選びません。
- 成長期の前歯欠損では、固定性ブリッジより調整可能な可撤性義歯を検討します。