115A049|第115回 歯科医師国家試験 過去問
50 歳の女性。右側眼窩周囲の腫脹を主訴として来院した。 5日前に右側顔面を 殴打されたという。初診時の顔貌写真 (別冊No. 15A 、エックス線画像 (別冊No. 15B 及びCT (別冊No. 15C を別に示す。 診断名はどれか。 1つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
眼窩周囲への鈍的外力後に生じる骨折について、眼窩壁の破綻を主体とする吹き抜け骨折と、頰骨・中顔面全体の骨折を区別します。
解説
症例は50歳の女性で、右側顔面を殴打された5日後に右側眼窩周囲の腫脹を認めています。眼窩に前方から鈍的外力が加わると、眼窩内圧が急上昇し、薄い眼窩下壁または内側壁が骨折することがあります。これが吹き抜け骨折です。
吹き抜け骨折では、眼窩内容が上顎洞などへ陥入し、外眼筋や眼窩脂肪が嵌頓することがあります。その結果、複視、眼球運動障害、眼球陥凹、眼窩下神経領域の知覚低下などを生じます。
画像の確認
実画像では、右眼周囲に皮下出血と腫脹があり、冠状断CTで右眼窩底の連続性が途絶え、眼窩内容が上顎洞側へ垂れ下がる像と洞内の不透過化がみられる。三次元CTでも眼窩底部の限局した骨欠損を確認できる。これらの可視所見が吹き抜け骨折の選択を支える。
選択肢の確認
a.頰骨骨折
誤り。
頰骨を含む頰骨上顎複合体骨折では、頰部の平坦化、眼窩下縁の段差、開口障害、眼窩下神経領域の知覚低下などがみられます。設問は眼窩壁の破綻を主体とする病態です。
b.頰骨弓骨折
誤り。
頰骨弓の陥没骨折では、下顎筋突起との干渉による開口障害や頰部の陥凹が中心となります。眼窩下壁の吹き抜けを示す病態とは異なります。
c.吹き抜け骨折
正しい。
眼窩への鈍的外力で眼窩内圧が上昇し、薄い眼窩下壁または内側壁が骨折する病態です。眼窩内容の陥入や外眼筋嵌頓を伴うことがあります。
d.Le FortⅡ型骨折
誤り。
Le FortⅡ型は鼻根部から眼窩内側・眼窩下縁、上顎骨、翼状突起へ至る錐体型の中顔面骨折です。通常は中顔面の可動性など、より広範な骨折所見を伴います。
e.Le FortⅢ型骨折
誤り。
Le FortⅢ型は頭蓋顔面分離とも呼ばれ、鼻根、眼窩壁、頰骨弓などを含む広範な中顔面骨折です。孤立した眼窩吹き抜け骨折とは異なります。
覚えるポイント
- 吹き抜け骨折は主に眼窩下壁または内側壁に生じます。
- 複視、上方視障害、眼球陥凹、眼窩下神経領域の知覚低下が重要です。
- CTで骨折部と眼窩内容の陥入・嵌頓を確認します。