115A041第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

50 歳の男性。口底部の腫脹を主訴として来院した。腫脹は弾性軟である。初診 時の造影CT (別冊No. 11A 、MRI (別冊No. 11B 及び摘出物のH-E 染色病理組 織像 (別冊No. 11C を別に示す。 診断名はどれか。 1つ選べ。

115A041の問題画像
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正解: c

正答

c

この問題のポイント

口底部に生じる嚢胞性病変について、発生部位、画像上の内部性状、病理組織で皮膚付属器を認めるかを整理して診断します。類皮囊胞と類表皮囊胞の鑑別が中心です。

解説

症例は50歳の男性で、口底部に弾性軟の腫脹があります。口底正中付近にゆっくり増大する軟らかい腫瘤を認める場合、類皮囊胞、類表皮囊胞、ラヌーラなどを鑑別します。

類皮囊胞は、嚢胞壁が角化性重層扁平上皮で裏装され、壁内に皮脂腺、汗腺、毛包などの皮膚付属器を伴う病変です。嚢胞腔には角化物や皮脂成分が貯留します。口底では顎舌骨筋との位置関係によって、口腔内の膨隆を主体とする場合と、オトガイ下部の腫脹を主体とする場合があります。

画像・病理像で見るポイント
CT・MRIでは病変の位置、境界、脂肪成分や角化物を示唆する内部性状を確認し、H-E染色では嚢胞壁の上皮と皮膚付属器の有無を確認します。

類表皮囊胞も角化性重層扁平上皮で裏装されますが、通常は皮膚付属器を欠きます。したがって、病理組織で皮脂腺などを認めることが類皮囊胞を選ぶ決め手になります。

画像の確認

実画像では、口底正中部に境界明瞭な楕円形の低吸収域があり、脂肪抑制T2強調MRIで高信号の嚢胞性病変として描出されている。組織像では角化性重層扁平上皮の裏装に加え、壁内に皮脂腺など皮膚付属器様構造がみられる。これらの所見が類皮嚢胞の正答を支える。

選択肢の確認

a.脂肪腫
誤り。
脂肪腫は成熟脂肪細胞からなる良性腫瘍です。画像では脂肪に一致する性状を示し、病理では脂肪細胞の増殖を認めます。皮膚付属器をもつ嚢胞性病変とは異なります。

b.ラヌーラ
誤り。
ラヌーラは主に舌下腺由来の粘液が周囲組織へ漏出して生じる粘液貯留性病変です。多くは口底の片側性腫脹として現れ、典型的な粘液溢出型では真の上皮性嚢胞壁をもちません。

c.類皮囊胞
正しい。
口底に好発し、病理組織で角化性重層扁平上皮に加えて皮脂腺や毛包などの皮膚付属器を認める嚢胞です。症例の部位と提示された画像・病理を総合して診断します。

d.類表皮囊胞
誤り。
類表皮囊胞は角化性重層扁平上皮で裏装され、嚢胞腔に角化物を含みますが、嚢胞壁に皮膚付属器を欠く点が類皮囊胞との重要な違いです。

e.甲状舌管囊胞
誤り。
甲状舌管囊胞は甲状舌管の遺残から生じ、典型的には舌骨付近の頸部正中にみられます。病理では扁平上皮または円柱上皮の裏装や、壁内の甲状腺組織が手掛かりになります。

覚えるポイント

  • 類皮囊胞は皮膚付属器あり、類表皮囊胞は皮膚付属器なしと整理します。
  • ラヌーラは舌下腺由来の粘液漏出が中心で、典型例では上皮性嚢胞壁をもちません。
  • 口底病変では、顎舌骨筋との位置関係と病理組織を組み合わせて判断します。

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