38PM53第38回 臨床工学技士国家試験 過去問

電気電子工学増幅器・演算増幅器反転/非反転・電圧フォロワ・CMRR・差動増幅

CMRR(同相除去比)が100 dBの差動増幅器の入力端子間に1 mVを入力すると1 Vが出力された。二つの入力端子を短絡し、アースとの間に1 Vを入力すると出力電圧[V]はどれか。

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正解: 2

正答

2

この問題のポイント

この問題では、差動増幅器の差動利得同相利得、**CMRR(同相除去比)**の関係が問われています。

CMRRは、同相信号をどれだけ除去できるかを表す指標です。

  • CMRR = 差動利得 / 同相利得
  • CMRR[dB] = 20 log10(差動利得 / 同相利得)

この問題では、まず差動利得を求め、CMRRから同相利得を求めます。

解説

差動増幅器は、2つの入力端子間の差、つまり差動信号を増幅し、2つの入力に共通して入る同相信号をできるだけ除去する増幅器です。

生体計測では、心電図、脳波、筋電図などの微小信号を扱います。商用交流雑音などは両入力に共通して入る同相信号になりやすいため、CMRRが高い差動増幅器が重要です。

まず、入力端子間に1 mVを入力すると1 Vが出力されたので、差動利得Adを求めます。

  • 差動入力 Vd = 1 mV = 0.001 V
  • 出力電圧 = 1 V

したがって、

  • Ad = 1 V / 0.001 V
  • Ad = 1000

次に、CMRRが100 dBなので、

  • CMRR[dB] = 20 log10(Ad / Acm)
  • 100 = 20 log10(Ad / Acm)

両辺を20で割ると、

  • 5 = log10(Ad / Acm)

したがって、

  • Ad / Acm = 10^5
  • Ad / Acm = 100000

ここでAd = 1000なので、

  • 1000 / Acm = 100000
  • Acm = 1000 / 100000
  • Acm = 0.01

つまり、同相利得は0.01です。

二つの入力端子を短絡し、アースとの間に1 Vを入力するという条件は、両入力端子に同じ1 Vを加える同相入力です。

したがって、出力電圧は、

  • 出力電圧 = Acm × 同相入力電圧
  • 出力電圧 = 0.01 × 1 V
  • 出力電圧 = 0.01 V

よって、答えは0.01 Vです。

ひっかけポイント
1 mVを入れて1 V出たので差動利得は1000です。ただし、次に入力している1 Vは差動入力ではなく、入力端子を短絡した同相入力です。差動利得ではなく同相利得を使います。

生体計測でのポイント
生体電気信号は微小で、同相雑音の影響を受けやすいです。差動増幅器では、CMRRが大きいほど同相雑音を除去しやすくなります。

選択肢の確認

1.誤り。
0.001 Vは、同相利得をさらに小さく見積もった場合に近い値です。CMRR 100 dBから求める同相利得は0.01です。

2.正しい。
差動利得は1000、CMRRは10^5なので、同相利得は0.01です。同相入力1 Vに対する出力は0.01 Vです。

3.誤り。
0.1 Vは、CMRRのdB換算を誤って、同相利得を大きく見積もった場合に近い値です。

4.誤り。
1 Vは、同相入力をそのまま出力と考えた場合の値です。差動増幅器では同相信号は抑制されます。

5.誤り。
10 Vは、同相信号を増幅しすぎた場合の値です。CMRRが100 dBと高いため、同相信号の出力は小さくなります。

覚えるポイント

  • 差動利得は、差動入力に対する出力の比です。
  • 同相利得は、両入力に共通する入力に対する出力の比です。
  • CMRR = 差動利得 / 同相利得です。
  • dB表示では CMRR[dB] = 20 log10(Ad / Acm) を使います。
  • CMRR 100 dBは、比に直すと10^5です。
  • この問題では、差動利得1000、同相利得0.01、出力0.01 Vとなります。

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