38AM74|第38回 臨床工学技士国家試験 過去問
図の A の動脈圧波形を示す補助循環装置について正しいのはどれか。

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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
この問題では、図の動脈圧波形から大動脈内バルーンパンピング、IABPを読み取れるかが問われています。
図では、A が駆動時、B が非駆動時の動脈圧波形です。
IABPでは、バルーンを心周期に同期させて拡張・収縮させます。
主な作用は次の2つです。
- 拡張期にバルーンを膨張させ、冠血流を増やす
- 収縮直前にバルーンを収縮させ、左室後負荷を減らす
この結果、心筋酸素供給を増やし、心筋酸素消費量を減少させる方向に働きます。
図で見るポイント
Aの駆動時波形では、拡張期に大きな圧上昇がみられます。これはバルーン膨張による拡張期圧増強、diastolic augmentationです。また、収縮直前にバルーンが急速に収縮することで、左室が血液を拍出しやすくなります。
解説
IABPは、下行大動脈内にバルーンカテーテルを留置し、心電図や動脈圧波形に同期してバルーンを駆動する補助循環装置です。
駆動のタイミングは次のように整理します。
- 拡張期開始時にバルーンを膨張
- 収縮期直前にバルーンを収縮
拡張期にバルーンを膨張させると、大動脈内圧が上昇します。
冠動脈血流は主に拡張期に流れるため、拡張期圧が上がることで冠血流が増加します。
一方、収縮期直前にバルーンを急速に収縮させると、大動脈内圧が低下します。
これにより左室が血液を拍出するときの抵抗、つまり後負荷が下がります。
後負荷が下がると、左室の仕事量が減少します。
その結果、心筋酸素消費量が減少します。
ひっかけポイント
IABPは「ポンプで大量の流量を送る装置」ではありません。
基本は、バルーンの拡張・収縮によって大動脈圧波形を変化させる圧補助、カウンターパルセーションです。
臨床工学技士としての注意点
IABP管理では、駆動タイミング、拡張期圧増強、収縮期補助、ヘリウムガス漏れ、下肢虚血、バルーン位置、抗凝固、動脈圧波形を継続的に確認します。タイミング不良は補助効果を低下させるだけでなく、心負荷を増やす原因にもなります。
選択肢の確認
1.誤り。
IABPは、遠心ポンプや補助人工心臓のように血液流量を直接送り込む流量補助装置ではありません。大動脈内バルーンの膨張・収縮によって圧を補助する装置です。
2.正しい。
IABPでは、収縮期直前のバルーン収縮により大動脈圧が低下し、左室後負荷が減少します。その結果、左室仕事量が減り、心筋酸素消費量が減少します。
3.誤り。
ACTを400秒以上で管理するのは、人工心肺など強い抗凝固が必要な場面で重要になる値です。IABP管理で常にACTを400秒以上にするわけではありません。
4.誤り。
IABPで代表的に禁忌となるのは、重症大動脈弁閉鎖不全症、大動脈解離、著明な大動脈病変、重症末梢動脈疾患などです。大動脈弁狭窄症を代表的禁忌として選ぶのは不適切です。
5.誤り。
心内留置型ポンプカテーテルは、Impellaなどの流量補助を行う装置を指します。IABPと併用されることが検討される場面はありますが、図のAの波形を示す装置の基本的特徴として「併用する」とはいいません。
覚えるポイント
- 図のAは、IABP駆動時の動脈圧波形です。
- IABPは、大動脈内バルーンパンピングです。
- 拡張期にバルーンを膨張させ、冠血流を増加させます。
- 収縮期直前にバルーンを収縮させ、左室後負荷を減少させます。
- IABPにより、心筋酸素消費量は減少します。
- IABPは流量補助ではなく、圧補助を主体とするカウンターパルセーションです。