9PM147|第9回 公認心理師国家試験 過去問
13 歳の男子A、中学 1 年生。 5 歳から入所していた児童養護施設において、年少児の身体に複数回不適切に触れるという行動を起こし、児童自立支援施設に措置変更された。Aは施設内で年少児の世話を好んだが、次第に過度な接触を図ろうとしたため、施設心理職Bが面談を行った。Aは、「人の役に立ちたいし、同年代とも仲良くなりたいが、誰も分かってくれない」と語った。Bは質問を重ねて、同年代と良好な関係を持ちたいというAの希望を基に、健全な交流方法を一緒に考えて、ロールプレイで練習した。また、世話好きという強みを活かせるボランティア活動を提案し、共に参加した。 Bの支援の理論的枠組みとして、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この事例では、問題行動の禁止だけでなく、Aが望むよい生活や本人の強みを活かして再発防止を図る支援枠組みが問われています。
Aには、年少児への不適切な接触というリスク行動があります。一方で、「人の役に立ちたい」「同年代とも仲良くなりたい」という希望や、世話好きという強みもあります。Bは、Aの希望を確認し、健全な交流方法を一緒に考え、ロールプレイで練習し、強みを活かせるボランティア活動を提案しています。
解説
グッド・ライブス・モデルは、犯罪や問題行動の再発防止において、リスク管理だけでなく、本人が価値ある人生を築くための目標、強み、資源に焦点を当てる考え方です。
この事例では、Aの問題行動は見逃してよいものではありません。年少児への不適切な接触は、被害防止、安全確保、境界線の学習が必要な重要なリスクです。
しかし、Bの支援は単に「してはいけない」と禁止するだけではありません。Aが本当は同年代と仲良くなりたいこと、人の役に立ちたいことを丁寧に確認し、その希望を満たすための健全な方法を一緒に考えています。さらに、ロールプレイで練習し、世話好きという強みを社会的に望ましい形で活かせる活動につなげています。
これは、本人のニーズや価値を尊重しながら、問題行動に代わる適応的な行動を増やす支援であり、グッド・ライブス・モデルに合っています。
司法・犯罪領域のポイント
再犯防止では、リスクの管理だけでなく、本人の希望、強み、生活目標、社会的つながりを支援に組み込む視点が重要です。
選択肢の確認
1.ゼロトレランス
判定:適切とはいえない。
ゼロトレランスは、問題行動に対して例外なく厳格に対応する考え方です。本事例のBは、禁止や処罰を中心にしているのではなく、Aの希望や強みを活かして健全な行動を育てています。
2.コーシャス・シフト
判定:適切とはいえない。
コーシャス・シフトは、集団意思決定において、個人の判断よりも集団の判断が慎重な方向へ偏る現象です。Aへの支援枠組みを表す概念ではありません。
3.ハームリダクション
判定:適切とはいえない。
ハームリダクションは、危険行動を直ちに完全になくすことが難しい場合に、まず害を減らすことを重視する考え方です。依存症支援などでよく用いられます。本事例では、Aの希望や強みを活かして望ましい生活を構築する支援が中心であり、グッド・ライブス・モデルがより適切です。
4.グッド・ライブス・モデル
判定:最も適切。
グッド・ライブス・モデルは、本人が望むよい生活や価値ある目標を支援し、強みを活かしながら問題行動の再発を防ぐ枠組みです。Aの「人の役に立ちたい」「同年代と仲良くなりたい」という希望を基に、健全な交流方法やボランティア活動につなげている点に合っています。
5.リアリティ・オリエンテーション
判定:適切とはいえない。
リアリティ・オリエンテーションは、認知症などで見当識が低下している人に対し、日時、場所、人物など現実の情報を確認する支援です。本事例のAへの非行・問題行動支援の枠組みではありません。
覚えるポイント
- グッド・ライブス・モデルは、本人の強み、価値、希望、生活目標を重視する再犯防止モデルです。
- 問題行動の背景にあるニーズを把握し、適応的な方法で満たせるよう支援します。
- リスク管理と、本人のよい生活の構築を両立させる視点が重要です。
- ゼロトレランスは厳格な処罰・禁止の考え方です。
- リアリティ・オリエンテーションは、認知症などの見当識支援と関連します。