9AM74|第9回 公認心理師国家試験 過去問
30 歳の女性A、会社員。ジムで知り合った男性Bと 2 年間交際していた。しかし、半年前、妻と子どもを大切にしたいという理由で、Bから一方的に別れを告げられた。Bが既婚者であることを知らされていなかったAは激怒し、その直後から、SNS にBの誹謗中傷を執ように投稿するようになった。さらに、Bの自宅を突き止め、火を放とうとしたところを発見され、放火未遂の容疑で逮捕・起訴された。取り調べに対しAは、「私をだましたBを許せず、Bの幸せを壊してやりたかった」と語った。Aは以前にも恋愛問題でトラブルを起こしたことがある。 Aの情状鑑定を依頼された公認心理師がテストバッテリーに含めるべき心理検査として、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この問題では、情状鑑定において、A の欲求不満場面での反応様式や攻撃性の方向を把握する心理検査として、P-F スタディを選べるかが問われています。
A は、交際相手 B が既婚者であったことを知らされず、一方的に別れを告げられた後、誹謗中傷や放火未遂に至っています。怒り、恨み、攻撃性の表れ方を評価する視点が重要です。
解説
P-F スタディは、欲求不満場面における反応の仕方を評価する投映法です。P-F は Picture-Frustration の略で、日常的な欲求不満場面が描かれた絵に対して、登場人物が何と言うかを回答してもらいます。
この検査では、欲求不満に対して、怒りや責任をどこに向けるか、どのように対処するかを検討します。例えば、他者を責める、自己を責める、問題解決を図る、攻撃的に反応するなどの傾向が評価の手がかりになります。
本事例では、A は B にだまされたと感じ、SNS で執ように誹謗中傷を行い、さらに B の自宅に放火しようとしています。情状鑑定では、事件に至った心理的背景、怒りや欲求不満への反応、対人葛藤時の対処様式、攻撃性の方向などを把握する必要があります。
司法・犯罪領域での注意点
情状鑑定では、心理検査の結果だけで結論を出さず、生活歴、犯行状況、供述、精神状態、対人関係、再犯リスクなどを総合して検討します。
アセスメントの視点
テストバッテリーでは、目的に応じて複数の検査を組み合わせます。本問では、欲求不満場面での反応様式をみる P-F スタディが最も適切です。
選択肢の確認
1.TEG
判定:誤り。
TEG は、交流分析に基づいて自我状態の特徴を把握する質問紙です。対人傾向の理解に役立つ場合はありますが、本事例の情状鑑定で欲求不満場面における攻撃性や反応様式を把握する検査としては、P-F スタディの方がより適切です。
2.CAPS
判定:誤り。
CAPS は、PTSD の評価に用いられる面接尺度です。A にはトラウマ体験に関連した侵入症状、回避、過覚醒などが中心として示されていません。情状鑑定で本事例の怒りや欲求不満反応を評価する目的には適しません。
3.P-F スタディ
判定:最も適切。
P-F スタディは、欲求不満場面での反応様式を評価する投映法です。A のように対人葛藤や裏切られた体験に対して強い怒りや攻撃行動を示した事例では、欲求不満への反応、攻撃性の方向、責任の帰属などを把握する検査として適切です。
4.Vineland-Ⅱ
判定:誤り。
Vineland-Ⅱ は、適応行動を評価する尺度です。発達障害や知的発達症などで、コミュニケーション、日常生活スキル、社会性などを把握する際に用いられます。本事例の情状鑑定で中心となる怒りや欲求不満反応の評価には最も適切ではありません。
5.ベンダー・ゲシュタルト検査
判定:誤り。
ベンダー・ゲシュタルト検査は、視覚運動統合や脳機能の状態を把握するために用いられることがあります。本事例では、視覚運動統合や器質的脳障害の評価が中心ではなく、対人葛藤に伴う欲求不満反応の評価が重要です。
覚えるポイント
- P-F スタディは、欲求不満場面での反応様式を評価します。
- 攻撃性の方向、責任の向け方、対処の仕方をみる手がかりになります。
- 情状鑑定では、検査結果だけでなく、犯行状況、生活歴、供述、精神状態を総合します。
- CAPS は PTSD、Vineland-Ⅱ は適応行動、TEG は自我状態の把握に関係します。