9AM75第9回 公認心理師国家試験 過去問

福祉領域-03 児童虐待・要保護児童対策地域協議会

33 歳の男性A、会社員。糖尿病と高血圧の治療で内科クリニックに通院中である。Aは初診の際、ぶっきらぼうな態度に終始したが、主治医との関係が深まるにつれて、少しずつ自らの過去について語り始めた。それによると、Aの両親は不仲で、幼少期は常に父親の虐待を受けていた。中学 3 年生のとき、両親が離婚し、中学校卒業後、非行集団に加わった。21 歳のときに強盗致傷容疑で逮捕され、有罪判決を受け、6 年間服役した。しかし、出所後、保護司の支援を受け、職業訓練校でプログラミングを学んだ。現在は、保護司の知人に誘われ、小さなベンチャー企業に勤務している。  この事例の背景を説明する用語として、最も適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 3

正答

3

この問題のポイント

この問題では、A の幼少期からの背景を説明する概念として、小児期逆境体験を選べるかが問われています。

A には、両親の不仲、父親からの虐待、両親の離婚、その後の非行集団への加入、犯罪、服役という経過が示されています。

解説

小児期逆境体験は、子どもの時期に経験する虐待、ネグレクト、家庭内暴力、家族の精神疾患、親の離婚、家族の服役、家庭の機能不全など、発達に大きな影響を及ぼしうる逆境的体験を指します。

本事例では、A は幼少期に父親から常に虐待を受け、両親は不仲でした。中学3年生のときには両親が離婚し、その後、非行集団に加わっています。これらは、子どもの安全感、愛着、自己評価、対人信頼、感情調整、社会的適応に影響しうる背景です。

A は21歳で強盗致傷容疑で逮捕され、6年間服役しています。一方で、出所後は保護司の支援を受け、職業訓練校でプログラミングを学び、現在は就労しています。小児期逆境体験は、その後の困難を理解する重要な視点ですが、A の人生を一方向に決定するものではありません。

司法・犯罪領域での注意点
小児期の逆境体験は、非行や犯罪の背景理解に役立ちます。ただし、逆境体験があるから犯罪をする、と単純に決めつけてはいけません。保護因子や回復過程も同時に見ます。

公認心理師としての注意点
事例理解では、リスク要因だけでなく、保護司の支援、職業訓練、就労継続などの保護因子にも注目します。

本問では、幼少期の虐待や家庭の不安定さが事例背景として示されているため、小児期逆境体験が最も適切です。

選択肢の確認

1.直線的因果律
判定:誤り。
直線的因果律は、ある原因が一方向にある結果を生むという考え方です。本事例では、虐待、家庭不和、離婚、非行、服役、保護司の支援、就労など複数の要因が関係しています。事例背景を表す用語としては小児期逆境体験が適切です。

2.社会的比較理論
判定:誤り。
社会的比較理論は、人が自分の能力や意見を他者との比較によって評価するという理論です。本事例の幼少期の虐待や家庭環境、非行歴を説明する用語ではありません。

3.小児期逆境体験
判定:最も適切。
小児期逆境体験は、虐待、ネグレクト、家庭内の不和、親の離婚など、子どもの発達に影響を及ぼしうる逆境的体験を指します。A の幼少期の父親からの虐待や両親の不仲、離婚などを説明する用語として最も適切です。

4.家族ホメオスタシス
判定:誤り。
家族ホメオスタシスは、家族システムが一定の均衡状態を保とうとする働きを指します。家族療法の文脈で重要ですが、本事例の幼少期の虐待や逆境体験の背景を表す用語としては小児期逆境体験が適切です。

5.ストレス脆弱性モデル
判定:誤り。
ストレス脆弱性モデルは、個人の脆弱性にストレスが加わることで精神疾患などが生じるという考え方です。本事例では精神疾患の発症モデルよりも、幼少期の虐待や家庭機能不全といった逆境体験が背景として示されています。

覚えるポイント

  • 小児期逆境体験には、虐待、ネグレクト、家庭不和、親の離婚などが含まれます。
  • 逆境体験は、感情調整、対人関係、健康、非行リスクなどに影響しうる背景です。
  • 逆境体験は運命を決めるものではなく、保護因子や支援による回復も重要です。
  • 司法・犯罪領域では、リスク要因と保護因子を両方見ることが大切です。

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