9AM73|第9回 公認心理師国家試験 過去問
15 歳の男子A、中学 3 年生。数学の授業内容は理解できるが、テストでケアレスミスが多いことを気にしていた。教師がいくつかの学習方略を教えたところ、Aは「今月中に、毎週の小テストでケアレスミスを 1 つ以下にする」という目標を自ら設定し、問題を解くときには「注意すべき箇所に印を付ける」、「必ず検算する」という方略を用いることに決めた。毎日の宿題でもそれらの方略を用いるよう意識した。毎週の小テスト後、ケアレスミスの数を数え、どこでミスをしたかを自ら確認し、学習計画を見直しながら、意欲を維持している。 このAの取組の背景となる心理学概念として、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、学習者が自分で目標を設定し、方略を選び、結果をモニタリングし、学習方法を調整していることから、自己調整学習を選ぶことが求められています。
A は、目標設定、方略使用、自己モニタリング、計画の見直し、意欲の維持を行っています。
解説
自己調整学習とは、学習者が自分の学習を主体的に調整する過程です。単に勉強するだけでなく、自分の目標、学習方略、進み具合、結果、動機づけを自分で確認しながら学習を進めます。
本事例では、A は数学の授業内容は理解できるものの、テストでケアレスミスが多いことを気にしています。教師から学習方略を教えられた後、A は自ら次のような取組をしています。
- 「今月中に、毎週の小テストでケアレスミスを1つ以下にする」という目標を設定する。
- 「注意すべき箇所に印を付ける」「必ず検算する」という方略を決める。
- 宿題でも方略を使うよう意識する。
- 小テスト後にミスの数や内容を確認する。
- 学習計画を見直す。
- 意欲を維持する。
これは、自己調整学習の典型です。
教育領域での注意点
学習支援では、正解を教えるだけでなく、学習者が自分で目標を立て、方法を選び、結果を振り返れるよう支援することが重要です。
自己調整学習では、認知的方略だけでなく、メタ認知や動機づけの調整も重要です。A は自分のミスを確認し、計画を見直しているため、メタ認知的な学習調整も行っています。
選択肢の確認
1.制御焦点
判定:誤り。
制御焦点は、目標達成において、促進焦点と予防焦点のように、何を重視して行動するかに関する動機づけの理論です。A の取組には目標志向性も含まれますが、学習目標、方略、モニタリング、見直しを総合して説明する概念としては自己調整学習が適切です。
2.潜在学習
判定:誤り。
潜在学習は、明確な強化がなくても学習が成立しており、必要な場面でその学習が表れることを指します。本事例では、A が意識的に目標を設定し、方略を用い、結果を確認しているため、潜在学習ではありません。
3.発見学習
判定:誤り。
発見学習は、学習者が自ら法則や概念を発見するように進める学習です。本事例では、数学内容の概念を発見することではなく、ケアレスミスを減らすために学習を自己管理している点が中心です。
4.自己調整学習
判定:最も適切。
自己調整学習は、学習者が自分で目標を設定し、学習方略を使い、成果をモニタリングし、必要に応じて学習計画を見直しながら学ぶことを指します。A の取組に合致します。
5.アンダーマイニング効果
判定:誤り。
アンダーマイニング効果は、内発的に動機づけられていた活動に外的報酬を与えることで、かえって内発的動機づけが低下する現象です。本事例では、外的報酬による動機づけ低下は示されていません。
覚えるポイント
- 自己調整学習は、目標設定、方略使用、自己モニタリング、計画修正、動機づけ調整を含みます。
- 学習者が自分の学びを管理しているかが判断のポイントです。
- 潜在学習は、意識的な目標設定なしに成立する学習です。
- アンダーマイニング効果は、外的報酬による内発的動機づけの低下です。