8PM144第8回 公認心理師国家試験 過去問

精神疾患とその治療-15 感情認識・アレキシサイミア

23歳の男性A、児童養護施設職員。Aは、半年前から長期間の虐待被害経験のある小学5年生の男児Bの担当になった。Bは、日々の暮らしの中で自身が経験した過酷な虐待被害を言語的、非言語的な方法で表現し、Aはそれに翻弄されながらもBが表現する苦しさやつらさ、怒りなどを熱心に、共感的に聴き、信頼関係も形成されるようになってきた。ところが、Bの担当になって3か月が経過した頃から、Aは強い疲労感、絶望感を覚えるようになり、怒りや悲しみに苛まれるようになってきた。ときには、Bが表現した虐待被害の場面が想起されることも出てきた。 ``` Aの現在の状態を説明する概念として、最も適切なものを1つ選べ。

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正解: 3


## 正答

3

## この問題のポイント

この問題では、トラウマ体験を直接受けた本人ではなく、支援者が被害体験を聴き続ける中で外傷性ストレス反応を示す**二次的外傷性ストレス**が問われています。

事例のキーワードは、「虐待被害を共感的に聴く」「強い疲労感」「絶望感」「怒りや悲しみ」「虐待被害の場面が想起される」です。

## 解説

**二次的外傷性ストレス**とは、トラウマを経験した人を支援する過程で、支援者自身が外傷性ストレス反応を示す状態です。

Aは、長期間の虐待被害経験を持つ小学5年生Bの担当職員です。Bは日々の暮らしの中で、自身が経験した過酷な虐待被害を言語的・非言語的に表現しています。Aはその苦しさやつらさ、怒りを熱心に、共感的に聴き続け、信頼関係も形成されてきました。

しかし、3か月が経過した頃から、Aは強い疲労感や絶望感を覚え、怒りや悲しみに苦しみ、Bが表現した虐待場面が想起されるようになっています。これは、Bのトラウマ体験に繰り返し触れることで、支援者であるAに生じた二次的外傷性ストレスとして理解できます。

支援者支援としては、スーパービジョン、チームでの共有、業務量の調整、セルフケア、休息、トラウマインフォームドな組織づくりが重要です。

> 公認心理師としての注意点
> トラウマ支援では、支援者自身の反応にも注意が必要です。共感的に関わるほど負担が蓄積することがあり、個人の弱さではなく支援構造の問題として扱います。

## 選択肢の確認

1.学習性無力感
判定:適切とはいえない。
学習性無力感は、努力しても結果が変わらない経験を繰り返すことで、行動する意欲が低下する状態です。Aの状態は、虐待被害の話に接し続けたことによる外傷性反応が中心です。

2.サバイバーズ・ギルト
判定:適切とはいえない。
サバイバーズ・ギルトは、災害や事故などで自分が生き残ったことに罪悪感を抱く状態です。Aは被災や生存者としての罪悪感ではなく、支援対象者のトラウマに接した反応を示しています。

3.二次的外傷性ストレス
判定:最も適切。
Aは、Bの虐待被害の表現を共感的に聴き続ける中で、疲労感、絶望感、怒りや悲しみ、虐待場面の想起を経験しています。二次的外傷性ストレスとして最も適切です。

4.マイノリティ・ストレス
判定:適切とはいえない。
マイノリティ・ストレスは、社会的少数者が偏見や差別、排除にさらされることで生じる慢性的ストレスです。本事例のAの状態とは異なります。

5.マイクロ・アグレッション
判定:適切とはいえない。
マイクロ・アグレッションは、無自覚で日常的な差別的言動や態度を指します。Aの外傷性反応を説明する概念ではありません。

## 覚えるポイント

* **二次的外傷性ストレス**は、支援者がトラウマ体験に接することで生じる外傷性ストレス反応です。
* トラウマ支援では、支援者の疲労、怒り、悲しみ、侵入的想起にも注意します。
* スーパービジョン、チーム支援、セルフケア、組織的支援が重要です。

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