8PM143|第8回 公認心理師国家試験 過去問
精神疾患とその治療-01 ASD・ADHD・LDなど神経発達症
23歳の男性A。両親と同居中。自宅にひきこもっていることを心配した母親Bに連れられて、市の保健センターを訪れた。Aによると、高校卒業時に就職したが、職場に馴染めず1か月で退職した。その後は、アルバイトを短期間で転々とした。21歳からは仕事をせずに自宅にひきこもっている。Bによれば、幼児期から一人遊びが好きな子どもで、周りがうるさいと言ってかんしゃくを起こすことが多かった。食べ物へのこだわりが強く、偏食で苦労した。小学2年生の頃から、同級生にからかわれるのが嫌だといって、学校に行くのを渋るようになった。それ以外に特に気になったことはないという。 ``` Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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正解: 4
## 正答
4
## この問題のポイント
この問題では、幼児期からの対人面の特徴、感覚過敏、こだわり、社会適応の困難から、**自閉スペクトラム症**を判断することが問われています。
事例のキーワードは、「幼児期から一人遊び」「周りがうるさいとかんしゃく」「食べ物へのこだわり」「偏食」「職場に馴染めない」「ひきこもり」です。
## 解説
**自閉スペクトラム症〈ASD〉**は、社会的コミュニケーションや対人相互作用の困難、限定された反復的な行動・興味・活動、感覚過敏や感覚鈍麻などを特徴とします。
Aは幼児期から一人遊びが好きで、周囲がうるさいとかんしゃくを起こすことが多く、食べ物へのこだわりや偏食がありました。これらは、対人関係の独特さ、感覚過敏、こだわりの強さとして理解できます。
小学2年生頃から同級生にからかわれるのが嫌で登校を渋るようになり、成人後も職場に馴染めず、短期間で離職や転職を繰り返し、現在はひきこもっています。発達早期からの特徴が成人期の社会適応困難につながっている点から、ASDが最も適切です。
ただし、ひきこもりは状態像であり、診断名ではありません。背景にはASD、AD/HD、不安、抑うつ、トラウマ、家族関係、職場環境など複数の要因が関係することがあります。
> アセスメントの視点
> 成人のASD評価では、現在の困りごとだけでなく、幼児期からの発達歴、感覚特性、こだわり、対人関係、学校・職場での適応を確認します。
## 選択肢の確認
1.強迫性障害
判定:適切とはいえない。
強迫性障害では、強迫観念と強迫行為が中心になります。Aには食べ物へのこだわりはありますが、強迫観念や確認・洗浄などの強迫行為が中心とは示されていません。
2.注意欠如多動症
判定:適切とはいえない。
注意欠如多動症では、不注意、多動性、衝動性が中心です。Aの事例では、幼児期からの一人遊び、感覚過敏、偏食、対人適応の困難が中心であり、ASDが適切です。
3.統合失調感情症
判定:適切とはいえない。
統合失調感情症では、統合失調症症状と気分エピソードがともにみられます。Aには幻覚、妄想、まとまりのない思考、明確な気分エピソードは示されていません。
4.自閉スペクトラム症
判定:最も適切。
幼児期からの一人遊び、感覚過敏、食べ物へのこだわり、対人関係の困難、職場適応の困難が示されており、自閉スペクトラム症として理解するのが最も適切です。
5.統合失調型パーソナリティ障害
判定:適切とはいえない。
統合失調型パーソナリティ障害では、奇異な信念、風変わりな行動、対人不安、認知や知覚の歪みなどがみられます。Aの特徴は発達早期からのASD特性として理解するのが適切です。
## 覚えるポイント
* ASDでは、社会的コミュニケーションの困難、こだわり、感覚過敏・鈍麻が重要です。
* 成人期のひきこもりの背景に、発達特性がある場合があります。
* ASDのアセスメントでは、幼児期からの発達歴を必ず確認します。