7PM143第7回 公認心理師国家試験 過去問

精神疾患とその治療-01 ASD・ADHD・LDなど神経発達症

[7PM143] 9 歳の男児A、小学 3 年生。母親BがAの家庭や学校の様子を心配に思い、スクールカウンセラーに相談した。Bによると、Aは、幼少時から全般的な発達に遅れはなかった。しかし、熱心に取り組もうとはするものの、一人で着替えるのに時間がかかり、箸やスプーンを使うことも苦手である。縄跳びや自転車に乗ることがうまくできない。また、書字では、マス目に沿って書くことができなかったり、力を入れすぎてノートを破ったりするため、学校生活に支障が出始めている。 DSM-5 に基づくAの病態の理解として、最も適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 5

正答

5

この問題のポイント

この問題では、全般的な発達の遅れはない一方で、日常生活や学校生活に支障をきたす協調運動の不器用さを読み取ることが問われています。

事例のキーワードは、「着替えに時間がかかる」「箸やスプーンが苦手」「縄跳びや自転車がうまくできない」「書字でマス目に沿えない」「力を入れすぎてノートを破る」です。

解説

発達性協調運動症/発達性協調運動障害では、年齢や知的能力から期待される水準に比べて、協調運動技能の獲得や遂行が著しく困難になります。

Aは、幼少時から全般的な発達の遅れはありません。しかし、一人で着替える、箸やスプーンを使う、縄跳び、自転車、書字など、日常生活や学校生活で必要な運動技能に困難があります。

特に、書字でマス目に沿って書けない、筆圧が強すぎてノートを破るといった困難は、微細運動や協調運動の問題を示しています。熱心に取り組もうとしているにもかかわらずうまくできない点も、反抗や怠けではなく発達性協調運動症として理解する手がかりです。

教育領域のポイント
協調運動の困難がある子どもには、「不器用」「努力不足」と決めつけず、道具の工夫、書字量の調整、成功体験の保障などの合理的配慮を考えます。

選択肢の確認

1.脱抑制型対人交流障害
判定:適切とはいえない。
脱抑制型対人交流障害では、見知らぬ大人にも過度に親しげに接近するなど、対人交流の脱抑制がみられます。Aの主な困難は対人接近ではなく、協調運動の不器用さです。

2.常同運動症/常同運動障害
判定:適切とはいえない。
常同運動症/常同運動障害では、手を振る、体を揺らす、自傷的な反復運動など、目的のない反復的運動が中心です。Aには反復運動ではなく、着替え、食具使用、書字、運動課題の不器用さがみられています。

3.反抗挑発症/反抗挑戦性障害
判定:適切とはいえない。
反抗挑発症/反抗挑戦性障害では、怒りっぽさ、反抗、挑発的行動、執拗な反発などが中心です。Aは熱心に取り組もうとしており、問題は反抗ではなく運動技能の困難です。

4.トゥレット症/トゥレット障害
判定:適切とはいえない。
トゥレット症/トゥレット障害では、複数の運動チックと1つ以上の音声チックがみられます。Aにはチック症状ではなく、協調運動技能の困難が示されています。

5.発達性協調運動症/発達性協調運動障害
判定:最も適切。
Aは、着替え、食具使用、縄跳び、自転車、書字などに困難があり、学校生活にも支障が出ています。全般的な発達遅れでは説明されにくい協調運動の困難として、発達性協調運動症/発達性協調運動障害が最も適切です。

覚えるポイント

  • 発達性協調運動症では、日常生活や学習場面での運動の不器用さが問題になります。
  • 着替え、食具使用、運動遊び、書字の困難は重要な手がかりです。
  • 努力不足や反抗と決めつけず、運動技能と環境調整の視点で理解します。

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