38Q50|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
Aさん(55歳、男性、会社員)は、20歳のときに交通事故で第5頚髄{けいずい}(C5)を損傷した。現在、電動車いすを利用し、自宅で自立した生活を送っている。身体状況は安定しているが、ときどき仙骨部に褥瘡{じょくそう}ができることがある。入浴は、居宅介護(ホームヘルプサービス)を利用していて、訪問介護員(ホームヘルパー)が福祉用具を用いて入浴介護をしている。 次のうち、Aさんが入浴時に使用している福祉用具として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
第5頚髄損傷では、損傷の程度によって差はあるものの、体幹・下肢機能や手指機能が大きく制限される場合があります。本事例では電動車いすを使用し、訪問介護員が福祉用具を用いて入浴介護をしているため、安全に身体を持ち上げて浴槽へ移動できる入浴用リフトが最も適切です。
解説
入浴用リフトは、座面や吊り具などで身体を支え、機械の力で浴槽内外へ昇降・移動する用具です。立位や浴槽をまたぐ動作が難しく、移乗に大きな介助を必要とする人の入浴を支援します。
Aさんには仙骨部に褥瘡ができることがあります。身体を引きずる移乗は摩擦やずれを生じさせるため、リフトを用いて持ち上げることは、移乗時の負担を減らすうえでも適しています。ただし、吊り具や座面が患部を圧迫しないか、皮膚状態に合っているかを個別に確認します。
福祉用具は診断名や損傷高位だけで決めません。Aさんの残存機能、座位保持能力、関節可動域、皮膚状態、浴室の広さや浴槽の形、本人の希望を専門職と確認し、安全な機種と介助方法を選びます。
選択肢の確認
1.移乗台
誤りです。 移乗台は、車いすと浴槽などの間を水平に移る動作を補助します。臀部をずらす力、上肢機能、座位保持などが必要であり、本事例のように移乗に大きな支援が必要な人の浴槽内外への昇降には十分ではありません。
2.バスボード
誤りです。 バスボードは浴槽の縁に渡して腰掛け、臀部を移動して両脚を浴槽内へ入れるための用具です。座位保持や身体を横へ移す能力が必要であり、Aさんの安全な全身移乗を支える用具としては不十分です。
3.入浴用リフト
正しいです。 身体を座面や吊り具で支え、機械の力で浴槽内外へ昇降できます。立位やまたぎ動作が難しいAさんの安全な入浴移乗に適しています。
4.浴槽用手すり
誤りです。 浴槽用手すりは、手でつかんで立ち上がる、立位を保つ、浴槽をまたぐといった動作を補助します。下肢で身体を支え、手すりを保持できることが前提となるため、Aさんの主な移乗手段にはなりません。
5.滑り止めマット
誤りです。 滑り止めマットは浴室や浴槽内で足が滑るのを防ぐ用具です。立位や歩行ができる人の安全には役立ちますが、車いすから浴槽へ身体を移す機能はありません。
覚えるポイント
- 入浴用リフトは、立位や浴槽のまたぎが難しい人を機械の力で昇降させる。
- バスボードは座って臀部を移動できる人、浴槽用手すりは立位やまたぎを行える人に用いる。
- 滑り止めマットは滑りを防ぐ用具であり、移乗そのものは支援しない。
- 褥瘡がある人では、移乗時の摩擦・ずれと用具による圧迫を確認する。
- 福祉用具は障害名だけで決めず、残存機能、住環境、皮膚状態、本人の希望を評価して選ぶ。