37Q90第37回 介護福祉士国家試験 過去問

介護生活支援技術

Aさん(75歳、男性)は、1年前に前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断され、現在は、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居している。若い頃から食べることが好きである。現在、咀嚼{そしゃく}や嚥下機能{えんげきのう}の低下はなく、スプーンを使い、自分で食べている。最近、飲み込む前に次々と食べ物を口に入れることが増えた。 次の記述のうち、Aさんの現在の状態に合わせた食事の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 2

正答

2.食器に少量ずつ盛りつけて提供する。

この問題のポイント

前頭側頭型認知症にみられる食行動の変化を理解し、本人の自立を保ちながら安全に食べられる環境を選ぶ問題です。

Aさんは咀嚼や嚥下機能が低下しておらず、スプーンを使って自分で食べられます。課題は、飲み込む前に次々と口へ入れることです。そのため、一度に見える食物の量を調整し、一口ごとの咀嚼と嚥下を確認しやすくします。

解説

前頭側頭型認知症では、行動の抑制がききにくくなる、同じ行動を繰り返す、食べ物へのこだわりが強くなる、急いで食べる、口の中へ次々に詰め込むなどの食行動がみられることがあります。これは本人の性格や意思の弱さと決めつけず、病気による行動調整の難しさとして理解します。

Aさんには食事を自分で行う力があるため、全面介助へ切り替えるのではなく、食器へ少量ずつ盛りつけて順番に提供します。一口を飲み込んだことを確認してから次の分を出すと、口腔内へ食物を詰め込みすぎることを防ぎやすくなります。

食事中は、足底が床につく安定した座位を整え、顎を上げすぎないようにします。口の中に食物が残っていないか、咀嚼しているか、嚥下したか、むせや湿った声がないかを観察します。急かす声かけや強い制止を避け、短くわかりやすく「飲み込んでから次にしましょう」などと伝えます。

すべての料理を一度に並べると、視覚的な刺激が増え、次々と食べる行動を促すことがあります。大きなスプーンは一口量を増やし、窒息や誤嚥の危険を高めます。取っ手付きコップや手づかみで食べられる食品は、別の機能障害には役立つことがありますが、今回の課題へ直接対応するものではありません。

介護実践でのポイント
食べることが好きという生活歴を尊重し、楽しみを奪わずに安全を確保します。食行動が急に変化した場合は、口腔内の痛み、薬の影響、空腹、環境刺激なども確認し、多職種で支援方法を検討します。

選択肢の確認

1.取っ手つきのコップを準備する。
誤り。
取っ手付きコップは、握力低下や手指操作の難しさがある人の飲水に役立つことがあります。Aさんの課題である、飲み込む前に食物を次々と口へ入れる行動には直接対応しません。

2.食器に少量ずつ盛りつけて提供する。
正答。最も適切です。
一度に見える食物と一口量を調整でき、飲み込んだことを確認してから次の分を提供できます。自分で食べる力を保ちながら、詰め込みを防ぎます。

3.すべての料理をテーブルの上に並べる。
誤り。
多くの料理が一度に見えると刺激が増え、次々と口へ入れる行動を助長する可能性があります。順番に少量ずつ提供します。

4.大きなスプーンに変更する。
誤り。
大きなスプーンでは一口量が増え、口腔内への詰め込みや窒息、誤嚥の危険が高くなります。本人に合う小さめの一口量を保ちます。

5.手で持って食べられる物を準備する。
誤り。
手づかみで食べられる食品は、食具操作が難しい人の自立支援に役立つ場合があります。しかし、Aさんはスプーンを使えており、詰め込みへの対応にはなりません。

覚えるポイント

前頭側頭型認知症では、食べ急ぎや食物の詰め込みなどがみられることがあります。

本人の自食能力を生かし、食器へ少量ずつ盛りつけて順番に提供します。

一口ごとに咀嚼と嚥下を確認します。

大きな一口や強い視覚刺激を避け、安全と食事の楽しみを両立させます。

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