37Q116|第37回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。 〔事 例〕 Aさん(70歳、男性)は、妻と二人で暮らしている。旅行や釣りが趣味で、会社員として勤務していたころは、活動的な生活を送っていた。66歳のときにパーキンソン病(Parkinson disease)と診断されたが、内服治療が開始され、症状はあまり気にならなかった。1年前から顔の表情が乏しくなり、歩行開始時に、はじめの一歩が出にくくなった。3か月前からは、歩き始めると方向転換が難しく、急に止まることができないことがある。 Aさんは、今後の生活について相談するために、地域包括支援センターに行った。センターで対応してくれたB主任介護支援専門員は、介護福祉士としての実務経験が豊富だった。Aさんは信頼して、気になっていたことをすべて話すことができた。Aさんは、要介護認定を申請することを勧められ、後日、市役所に行き、要介護認定の申請を行った。 最近、Aさんは急に体の動きが悪くなる時間帯があり、不安を感じた。そこでAさんは、週に2回利用している訪問介護員(ホームヘルパー)に相談した。相談を受けた訪問介護員(ホームヘルパー)はAさんに、日々の症状の変化とその時間、さらにもう一点をメモして、医師に伝えるようにと助言した。 日々の症状の変化とその時間に加えて、Aさんが医師に伝える内容として、最も優先度の高いものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.服薬の時間
この問題のポイント
パーキンソン病では、抗パーキンソン病薬の効果が切れる時間帯に体が動きにくくなる、ウェアリングオフ現象などの症状変動が生じることがあります。
症状が変化した時刻と服薬時刻を対応させて記録すると、薬効との関連を医師が判断する重要な情報になります。
解説
パーキンソン病の治療では、レボドパをはじめとする抗パーキンソン病薬が用いられます。病気が進行し、レボドパを長期間使用していると、1回の服薬による効果の持続時間が短くなり、次の服薬前に動作緩慢、筋強剛、振戦、歩行困難などが再び強くなることがあります。これをウェアリングオフ現象といいます。
Aさんには「急に体の動きが悪くなる時間帯」があります。症状が悪化した時刻だけでなく、薬を飲んだ時刻を一緒に記録すると、「服薬してからどれくらいで動きやすくなったか」「次の服薬前に悪化しているか」「飲み忘れや遅れがなかったか」などを確認できます。
医師は症状と服薬の時間的関係を基に、ウェアリングオフ現象、予測しにくいオン・オフ現象、薬の効き始めの遅れなどを検討し、薬の種類、量、回数、服薬時刻などを判断します。
起床、食事、排便、入浴の時間も生活全体や症状を理解するうえで役立つ場合があります。特に食事内容や便秘は薬の吸収・効果に影響する可能性があります。しかし、設問の「急に体の動きが悪くなる時間帯」と最も直接的に照合すべき情報は服薬時刻です。
ひっかけポイント
食事や排便もパーキンソン病のケアでは重要ですが、薬の効果が切れることによる日内変動を確認するには、症状の時刻と服薬時刻の対応が最優先です。
介護実践でのポイント
「何時にどの薬を飲んだか」「何時から動きにくくなったか」「どのような動作が難しかったか」「転倒や不随意運動があったか」を、本人が続けられる簡単な様式で記録します。訪問介護員は薬の量や時刻を自己判断で変更せず、記録を医師・薬剤師・看護職へつなぎます。
選択肢の確認
1.服薬の時間
正しいです。 症状が悪化する時刻と服薬時刻を照合すると、薬の効果が次の服薬前に切れるウェアリングオフ現象などを判断する重要な材料になります。
2.起床の時間
誤りです。 睡眠や起床時の状態は生活状況の把握に役立ちますが、体の動きが急に悪くなることと薬効の関係を判断するには、服薬時刻のほうが優先されます。
3.食事の時間
誤りです。 食事は薬の吸収に影響する場合があるため追加情報として有用ですが、まず症状変化の時刻と直接比較すべきなのは服薬時刻です。
4.排便の時間
誤りです。 便秘や排便状況はパーキンソン病の重要な非運動症状ですが、急な運動症状の変化と薬効の関係を確認する情報としては服薬時刻が優先されます。
5.入浴の時間
誤りです。 入浴による疲労や転倒リスクを確認することは大切ですが、周期的な動きにくさが薬の効果と関連するかを判断するための最優先情報ではありません。
覚えるポイント
- ウェアリングオフ現象は、薬の効果時間が短くなり、次の服薬前などに症状が悪化する現象である。
- 症状の種類と時刻に加えて、服薬時刻を記録する。
- 薬が効いて動きやすい状態をオン、効果が弱く動きにくい状態をオフという。
- 食事、便秘、睡眠なども補足情報として役立つ。
- 介護福祉職は自己判断で薬を変更せず、正確な観察記録を医師などへつなぐ。