34Q119|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。 〔事 例〕 Dさん(70歳、男性)は、19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ、妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。そのため、兄に付き添われて精神科病院を受診し、医療保護入院となった。 現在は、入院から3年が経過し、陽性症状はほとんどなく、病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。 Dさんは施設への入所が決まり、うれしそうに退院の準備をするようになった。ある夜、1人で荷物の整理をしていたときに転んでしまい、顔を強打して大きなあざができた。後遺症はないことがわかったが、Dさんは自信をなくし、介護福祉職に、「これでは施設も自分を受け入れてくれないだろう」と言い、「施設入所がうれしくて早く準備がしたかった」と話した。 そばに寄り添い、Dさんの話を聴き終えた介護福祉職が、「施設入所がうれしくて、早く準備をしたかったのですね」と言うと、Dさんは、「退院を諦めていたけど、自分にも暮らせる場所があると思った」とやりたいことや夢を語り出した。 介護福祉職が行ったコミュニケーション技術として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.繰り返し
この問題のポイント
利用者が話した言葉を、介護福祉職がほぼ同じ言葉で返す技法は「繰り返し」です。Dさんの発言を受け止めて返したことで、その先にある希望や夢を語りやすくしています。
解説
繰り返しは、利用者が話した言葉の全部または重要な部分を、そのまま返すコミュニケーション技法です。介護福祉職が話を受け止め、理解しようとしていることを伝え、利用者が自分の気持ちや考えをさらに言葉にすることを促します。
本事例でDさんは、転倒したことで自信をなくし、「施設も自分を受け入れてくれないだろう」と不安を抱いていました。介護福祉職は話を途中で遮らずに聴き、「施設入所がうれしくて、早く準備をしたかったのですね」と、Dさんが使った言葉をほぼそのまま返しています。
これにより、Dさんは自分の思いが受け止められたと感じ、「自分にも暮らせる場所があると思った」と、退院後の希望や夢をさらに語ることができました。
ひっかけポイント
「言い換え」は発言の意味を保ちながら別の表現で返す技法、「要約」は複数の発言や長い話を整理して短くまとめる技法です。本事例では発言をほぼ同じ言葉で返しているため、繰り返しです。
介護実践でのポイント
繰り返しは機械的にすべての語をまねるのではなく、利用者が伝えたい中心的な言葉や感情を選び、穏やかな表情や声で返します。理解が違っていた場合に本人が訂正できるため、相互理解の確認にも役立ちます。
選択肢の確認
1.あいづち
誤りです。
あいづちは、「はい」「そうですか」などの短い言葉や、うなずきによって話を聴いていることを示す技法です。本事例では、Dさんの発言内容を言葉で返しています。
2.言い換え
誤りです。
言い換えは、利用者の発言の意味を変えずに、別の言葉や表現で返す技法です。本事例ではDさんの言葉をほぼそのまま返しているため、言い換えではありません。
3.要約
誤りです。
要約は、利用者が話した複数の内容や長い話の要点をまとめ、簡潔に返す技法です。本事例では、話全体を整理してまとめたのではなく、一つの発言をそのまま返しています。
4.繰り返し
正しいです。
Dさんの「施設入所がうれしくて早く準備がしたかった」という言葉を、介護福祉職がほぼ同じ言葉で返しています。これは繰り返しの技法です。
5.閉じられた質問
誤りです。
閉じられた質問は、「はい」「いいえ」や限られた選択肢で答えられる質問です。介護福祉職の発言は質問ではなく、Dさんの言葉を受け止めて返したものです。
覚えるポイント
- 繰り返しは、利用者の言葉の全部または重要な部分をそのまま返す。
- 言い換えは、同じ意味を別の表現で返す。
- 要約は、複数の発言や長い話の要点を短くまとめる。
- あいづちは、短い応答やうなずきで傾聴していることを示す。
- 繰り返しには、受容を伝え、利用者の自己表現を促す働きがある。