34Q118|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。 〔事 例〕 Dさん(70歳、男性)は、19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ、妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。そのため、兄に付き添われて精神科病院を受診し、医療保護入院となった。 現在は、入院から3年が経過し、陽性症状はほとんどなく、病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。 1年前からDさんの退院について検討が行われてきた。Dさんは退院後の生活に対する不安があり、「帰る家がない」、「顔見知りの患者や職員がいるのでここを離れたくない」と退院には消極的であった。しかし、Dさんと仲のよい患者が、退院し施設入所したことをきっかけに退院を考えるようになった。 Dさんは、整容、入浴、排泄(はいせつ)、食事、移動は見守りがあればできる。また、介護福祉職の助言を受ければ、日用品などを買うことはできる。経済状況は、障害基礎年金2級と生活保護を受給している。要介護認定を受けたところ、要介護1と認定された。 Dさんの退院先の候補になる施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1.養護老人ホーム
この問題のポイント
施設名だけでなく、入所対象、施設の役割、本人の年齢、経済状態、介護の必要度を組み合わせて判断します。
Dさんは70歳で、退院後に帰る家がなく、障害基礎年金と生活保護を受給しています。日常生活は見守りや助言があれば行えるため、経済的・環境的な理由から在宅生活が難しい高齢者を対象とする養護老人ホームが最も適切です。
解説
養護老人ホームは、原則として65歳以上で、環境上の理由と経済的理由により、居宅で養護を受けることが困難な人を対象とする老人福祉施設です。市町村による措置で入所し、生活上の支援や社会復帰、自立した生活に向けた支援を行います。
Dさんは70歳で、両親が亡くなり退院後に帰る家がありません。障害基礎年金2級と生活保護を受給しており、経済的な支援も必要です。一方、整容、入浴、排泄、食事、移動は見守りがあればでき、買い物も助言があればできます。常時の高度な介護を必要とする状態ではないため、養護老人ホームが最も適切です。
施設を選ぶときは、統合失調症という診断名だけで決めるのではなく、本人の希望、生活能力、必要な見守り、経済状態、住居の有無、利用できる制度を総合的に検討します。
ひっかけポイント
「要介護1」とあるため介護老人福祉施設を選びたくなりますが、介護老人福祉施設は原則として要介護3以上の人が対象です。Dさんは見守りや助言があれば多くの生活行為ができるため、常時介護を必要とする状態ではありません。
介護実践でのポイント
退院先を決めるときは、施設の条件だけでなく、本人がどのような生活を望んでいるかを確認します。施設見学、地域の支援者との顔合わせ、生活体験などを行い、環境の変化による不安を軽減しながら地域生活へ移行できるよう支援します。
選択肢の確認
1.養護老人ホーム
正しいです。
原則65歳以上で、環境上・経済的な理由により居宅で生活することが困難な人を対象とします。70歳で帰る家がなく、経済的支援が必要で、見守りや助言があれば生活できるDさんに適しています。
2.老人福祉センター
誤りです。
老人福祉センターは、地域の高齢者に相談、健康増進、教養、レクリエーションなどの機会を提供する通所型の施設です。入所して生活する施設ではありません。
3.更生施設
誤りです。
更生施設は生活保護法上の保護施設で、身体上または精神上の理由により養護や生活指導を必要とする人に、生活上の支援を行う施設です。しかし、Dさんは65歳以上で、経済的・環境的理由から居宅生活が困難という養護老人ホームの対象像に、より直接的に該当します。
4.地域生活定着支援センター
誤りです。
地域生活定着支援センターは、高齢または障害があり福祉的支援を必要とする矯正施設退所者などが、地域生活へ移行できるよう福祉サービスへの調整を行う機関です。入所して生活する施設ではなく、Dさんに矯正施設への入所歴もありません。
5.介護老人福祉施設
誤りです。
介護老人福祉施設は、常時介護を必要とする人に、入浴、排泄、食事などの介護を提供する施設です。新規入所は原則として要介護3以上であり、要介護1のDさんは対象像と合いません。要介護1・2でも特例入所はありますが、本事例にはその必要性を示す事情がありません。
覚えるポイント
- 養護老人ホームは、環境上・経済的理由で居宅生活が困難な原則65歳以上の人が対象である。
- 養護老人ホームへの入所は、市町村による措置で行われる。
- 老人福祉センターは、相談や健康増進などを行う通所型施設である。
- 地域生活定着支援センターは、矯正施設退所者などの地域移行を調整する機関である。
- 介護老人福祉施設への新規入所は、原則として要介護3以上である。