37Q1|第37回 介護福祉士国家試験 過去問
次の記述のうち、介護福祉職がアドボカシー(advocacy)の視点から行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.希望を言い出しにくい利用者の意思をくみ取り、その実現に向けて働きかける。
この問題のポイント
アドボカシーとは、利用者が自分の希望や権利を表明しにくいときに、その意思表明を支え、権利や利益が守られるように働きかけることです。
この問題では、説明と同意、多職種連携、個別性の尊重、情報アクセシビリティと、アドボカシーの違いを見分けます。
解説
アドボカシーには、「権利擁護」「代弁」「本人の声を社会や支援者に届ける働きかけ」という意味があります。介護福祉職は、利用者が遠慮、不安、障害、コミュニケーション上の困難などによって希望を伝えにくい場合に、本人が意思を表明できる方法を整え、その実現に向けて関係者へ働きかけます。
重要なのは、介護福祉職が本人に代わって勝手に希望を決めることではありません。言葉だけでなく、表情、しぐさ、生活歴、これまでの選択なども手がかりにしながら、できる限り本人に確認します。意思を表明できるように情報をわかりやすく伝え、選択肢を示し、時間を確保することもアドボカシーにつながります。
選択肢1は、介護を受けるかどうかについて説明を受け、本人が同意するという説明と同意の原則です。利用者の尊厳を守る重要な対応ですが、アドボカシーそのものを最も直接的に表すものではありません。
選択肢2は、よりよい支援のために他職種の知識を活用する多職種連携です。選択肢3は、利用者の趣味や個別性を生かした生活支援です。選択肢5は、情報を利用しやすくする情報保障やアクセシビリティに関する対応です。いずれも大切ですが、「言い出しにくい意思をくみ取り、その実現に向けて働きかける」という選択肢4が、アドボカシーを最も明確に表しています。
ひっかけポイント
アドボカシーは、単に親切にすることや、介護福祉職が本人の代わりに決定することではありません。本人の意思と権利を中心にして、表明と実現を支えることです。
介護実践でのポイント
本人の意思がわかりにくいときほど、すぐに家族や支援者の考えで決めず、本人が理解しやすい説明方法、意思表示の方法、考える時間を整えます。推測した内容は本人に確かめ、必要に応じて家族や多職種と共有しながら、本人の希望を実現できる方法を検討します。
選択肢の確認
1.介護を行う前には、利用者に十分な説明をして同意を得る。
適切な対応ですが、この問題の正答ではありません。
これは説明と同意の原則です。利用者が内容を理解し、自分で受けるかどうかを選べるようにする点で重要ですが、希望を表明しにくい人の声を支え、その実現に向けて働きかけるアドボカシーを最も直接的に示すものではありません。
2.利用者の介護計画を作成するときに、他職種に専門的な助言を求める。
適切ではありません。
これは多職種連携やチームアプローチに関する対応です。専門的な助言を得ることは必要ですが、それだけでは利用者の意思や権利を代弁し、実現に向けて働きかけるアドボカシーとはいえません。
3.利用者個人の趣味を生かして、レクリエーション活動を行う。
適切ではありません。
利用者の個別性や好みを尊重した生活支援ですが、希望を言い出しにくい人の意思表明を支え、権利の実現へ働きかけるというアドボカシーの中心的な内容ではありません。
4.希望を言い出しにくい利用者の意思をくみ取り、その実現に向けて働きかける。
正答。最も適切です。
本人が伝えにくい希望や意思を表明できるように支え、その内容が尊重されるように関係者へ働きかけることは、アドボカシーの代表的な実践です。ただし、介護福祉職の価値観で決めつけず、本人への確認を重ねることが必要です。
5.視覚障害者が必要とする情報を、利用しやすいようにする。
適切ではありません。
これは情報保障やアクセシビリティの確保に関する対応です。点字、音声、拡大文字などを用いて情報を得やすくすることは権利擁護にもつながりますが、選択肢4のほうがアドボカシーの働きを直接示しています。
覚えるポイント
アドボカシーは、利用者の意思表明、権利、利益を支える働きです。
本人の代わりに勝手に決めるのではなく、本人が選び、伝えられるように支援します。
説明と同意は「理解して選ぶことの保障」、多職種連携は「専門性を持ち寄ること」、情報保障は「情報を利用できるようにすること」です。
希望を表明しにくい人の声をくみ取り、本人に確認しながら実現へ働きかける対応が、アドボカシーです。