35Q1|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
利用者の生活の質(QOL)を高めるための介護実践に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.福祉用具の活用は,利用者と相談しながら進める。
この問題のポイント
生活の質(QOL)は、介護福祉職が一律の基準で決めるものではありません。利用者本人が、現在の暮らしをどのように受け止め、何を大切にし、どのような生活を望んでいるかを中心に考えます。
この問題では、「できる動作を増やすこと」だけを目標にするのではなく、本人の価値観と自己決定を尊重して生活を支える姿勢を見分けます。
解説
QOLは、身体機能や日常生活動作だけでなく、心理状態、人間関係、社会参加、住環境、安心感、生きがい、本人の価値観などを含む幅広い概念です。同じ身体状況であっても、何をよい生活と感じるかは一人ひとり異なります。
日常生活動作が向上することは、QOLを高める一つの手段になり得ます。しかし、病気や障害が進行している人、終末期にある人など、動作能力の向上を必ずしも目指せない場合もあります。そのような場合でも、苦痛の軽減、好きな人との交流、安心できる環境、本人が望む過ごし方を実現することで、QOLを高めることができます。
福祉用具は、単に介護者の負担を軽くするために導入するものではありません。利用者の身体機能、生活動作、住環境、使う場面、本人の希望を確認し、必要に応じて試用しながら選びます。導入後も、使いやすさ、安全性、生活の変化を本人と一緒に確認し、合わなければ見直します。
家族の意向も大切な情報ですが、介護実践の中心は利用者本人です。本人の意思を確認し、家族の思いと調整しながら、本人が望む生活を実現できるように支援します。
ひっかけポイント
QOLの向上とADLの向上は同じではありません。ADLが変わらなくても、本人の安心、満足、役割、交流、自己決定が高まれば、QOLが向上することがあります。
介護実践でのポイント
福祉用具を選ぶときは、「何ができないか」だけでなく、「本人は何をしたいか」「どの場面で使うか」「本人が使いやすいか」を確認します。導入を介護者だけで決めず、説明と同意を大切にします。
選択肢の確認
1.日常生活動作の向上を必須とする。
適切ではありません。
日常生活動作の向上はQOLを高める方法の一つですが、すべての利用者に必須ではありません。身体機能の維持が難しい場合でも、苦痛の軽減や本人が望む過ごし方の実現によってQOLを高めることができます。
2.利用者の主観的評価では,介護福祉職の意向を重視する。
適切ではありません。
主観的評価とは、利用者本人が自分の生活をどのように感じているかという評価です。介護福祉職の価値観を優先するのではなく、本人の希望、満足感、生活上の意味を丁寧に確認します。
3.介護実践は,家族のニーズに応じて行う。
適切ではありません。
家族のニーズや介護負担を把握することは重要ですが、家族の意向だけで支援内容を決めることはできません。利用者本人の意思と利益を中心に、家族とも相談して支援を組み立てます。
4.福祉用具の活用は,利用者と相談しながら進める。
正答。最も適切です。
福祉用具は、本人の希望、身体状況、生活環境、使う目的に合わせて選ぶ必要があります。本人に説明し、相談しながら試用や調整を行うことは、自己決定を尊重し、QOLを高める介護実践です。
5.価値の基準は,全ての利用者に同じものを用いる。
適切ではありません。
大切にしていることや望む暮らしは人によって異なります。年齢、病名、要介護度などだけで一律に判断せず、生活歴、文化、習慣、役割、本人の希望を個別に確認します。
覚えるポイント
QOLは、本人が自分の生活をどう受け止めているかを重視する概念です。
ADLの向上はQOLを高める一つの手段であり、必須条件ではありません。
介護実践の中心は利用者本人であり、家族や専門職の意向だけで決めません。
福祉用具は、本人の目的、能力、環境、希望に合わせ、相談・試用・評価・見直しを行います。