36Q94|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
Jさん(84歳、女性、要介護3)は、認知症(dementia)があり、夫(86歳、要支援1)と二人暮らしである。Jさんは尿意はあるが、夫の介護負担を軽減するため終日おむつを使用しており、尿路感染症(urinary tract infection)を繰り返していた。夫が体調不良になったので、Jさんは介護老人福祉施設に入所した。 Jさんの尿路感染症(urinary tract infection)を予防する介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.おむつを使わないで、トイレに誘導する。
この問題のポイント
尿意があり、トイレで排尿できる可能性のある利用者に対して、尿路感染症の予防と排泄の自立を両立する支援を選ぶ問題です。
Jさんは、夫の介護負担を軽減する目的で終日おむつを使用していました。本人の尿意と残存機能を活かし、トイレで自然に排尿できるように支援することが最も適切です。
解説
尿路感染症は、尿道から入った細菌が膀胱などで増殖して起こります。高齢者では、排尿後に尿が残ること、脱水、陰部の汚染、活動性の低下、膀胱留置カテーテルなどが感染のリスクになります。
Jさんには尿意があります。排尿の時間帯、トイレまでの移動能力、衣類の上げ下ろし、トイレの場所の理解、便座への移乗などをアセスメントし、できる動作を活かしてトイレへ誘導します。必要に応じて、わかりやすい表示、動線の確保、着脱しやすい衣類、手すり、定時の声かけなどを組み合わせます。
必要がないのに終日おむつを使用すると、陰部が尿や便で湿潤・汚染されやすくなり、皮膚トラブルや感染のリスクを高める可能性があります。また、本人が持つ排泄動作や排尿習慣を使う機会が減り、自立度の低下にもつながります。
尿の濁り、におい、血尿、発熱、活気の低下などを観察することは、尿路感染症の早期発見には重要です。しかし、観察だけでは感染を予防する介護にはなりません。
膀胱留置カテーテルは、明確な医学的適応がある場合に医師の判断で使用するものです。失禁への対応や介護負担の軽減だけを理由に提案すると、カテーテル関連尿路感染症の危険を高めます。
ひっかけポイント
「観察」は早期発見、「トイレ誘導」は予防と自立支援です。問題が何を問うているかを区別します。
介護実践でのポイント
おむつを一律に外すのではなく、本人の尿意、排尿間隔、移動能力、認知機能、夜間の安全を確認して支援方法を整えます。排尿時の痛み、発熱、血尿、強いにおい、急な混乱などがあれば、看護職員等へ報告します。
選択肢の確認
1.尿の性状を観察する。
適切ではありません。
尿の濁り、色、においなどの観察は尿路感染症の早期発見に役立ちますが、感染を予防するための中心的な介護ではありません。
2.体温の変化を観察する。
適切ではありません。
発熱の観察は感染の早期発見に重要ですが、すでに起こった変化を捉える対応です。予防としては、本人の排泄機能を活かしたトイレ誘導が適切です。
3.陰部洗浄の回数を検討する。
適切ではありません。
陰部を清潔に保つことは必要ですが、洗いすぎは皮膚のバリア機能を傷つけることがあります。Jさんの尿意と排泄能力を活かす支援を優先します。
4.おむつを使わないで、トイレに誘導する。
正答。最も適切です。
尿意があるJさんをトイレへ誘導することで、自然な排尿を促し、陰部の湿潤や汚染を減らし、排泄の自立を支援できます。
5.膀胱留置{ぼうこうりゅうち}カテーテルの使用を提案する。
適切ではありません。
膀胱留置カテーテルは尿路感染症の重要なリスク因子です。医学的な必要性がない状態で、介護の都合によって使用を提案してはいけません。
覚えるポイント
尿意がありトイレで排尿できる人には、排泄能力を活かした支援を行います。
尿や体温の観察は、感染の早期発見に役立ちます。
おむつは必要性を評価し、本人の状態に合った最小限の使用とします。
膀胱留置カテーテルは、介護負担の軽減を目的に使用するものではありません。
排泄支援では、尊厳、プライバシー、安全、自然な排泄、自立支援を結びつけて考えます。