36Q71|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
3階建て介護老人福祉施設がある住宅地に、洪水・内水氾濫の図記号マークに関連した警戒レベル3が発令された。介護福祉職がとるべき行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る
正解: 3
正答
3.垂直避難誘導をする。
この問題のポイント
図に示されている、四角い枠の中に波線を描いたマークは、洪水・内水氾濫に関する災害種別図記号です。
警戒レベル3は「高齢者等避難」に当たり、避難に時間を要する高齢者、障害のある人、その支援者などが危険な場所から避難を始める段階です。3階建ての介護老人福祉施設という設問条件では、利用者を浸水のおそれがある低層階から安全な上層階へ誘導する垂直避難が最も適切です。
解説
洪水とは、大雨などによって河川の水量が増え、河川から水があふれることです。内水氾濫とは、大雨を下水道や水路などで排水しきれず、市街地などに水があふれることです。設問の図記号は、これらの水害に関係することを示しています。
警戒レベル3の「高齢者等避難」は、災害が発生するおそれがあり、高齢者や障害のある人など避難に時間を要する人が危険な場所から避難すべき段階です。介護老人福祉施設の利用者には、歩行や移乗、状況の理解などに支援を必要とする人がいるため、早い段階から組織的に避難を始める必要があります。
垂直避難とは、同じ建物の浸水しない上層階など、より高い場所へ移動することです。設問では3階建ての施設であるため、施設の避難確保計画に従い、利用者を安全な上層階へ誘導することが適切です。
ただし、洪水時に常に垂直避難を選ぶという意味ではありません。原則となる立退き避難が安全にできるか、建物が想定浸水深より高く、倒壊や流失のおそれがないかなどを、ハザードマップ、自治体の情報、施設の避難確保計画に基づいて判断します。
ひっかけポイント
「利用者家族への連絡」も必要な業務ですが、警戒レベル3が発令され、利用者の生命に水害の危険が迫っている場面では、まず安全な場所への避難誘導を優先します。家族への連絡は、施設の連絡体制に従って避難と並行または安全確保後に行います。
介護実践でのポイント
災害時は施設の避難確保計画や業務継続計画に従い、職員の役割、避難経路、利用者数、移送方法を確認します。移動能力、認知機能、医療的ケアの必要性などを踏まえて支援し、避難後は全員の所在と健康状態を確認します。薬、必要な医療物品、連絡先なども、事前に定めた方法で確保します。
選択肢の確認
1.玄関のドアを開けたままにする。
誤りです。
玄関のドアを開放すると、雨水や浸水した水が施設内へ入りやすくなるほか、利用者が誤って外へ出る危険もあります。出入口は避難計画に従って管理します。
2.消火器で、初期消火する。
誤りです。
消火器による初期消火は、火災が発生したときの対応です。図記号が示しているのは洪水・内水氾濫であり、この場面で優先する対応ではありません。
3.垂直避難誘導をする。
正しいです。
警戒レベル3では、避難に時間を要する高齢者等の避難を開始します。3階建て施設という条件では、利用者を浸水のおそれがある低層階から安全な上層階へ誘導する垂直避難が最も適切です。
4.利用者家族に安否情報を連絡する。
誤りです。
家族への情報提供は必要ですが、利用者が危険な場所にいる状態では、まず避難誘導による生命の安全確保を優先します。
5.転倒の危険性があるものを固定する。
誤りです。
家具や物品の固定は、地震への備えとして特に重要であり、災害発生前から行っておく対策です。洪水・内水氾濫に関する警戒レベル3が発令された場面では、利用者の避難誘導を優先します。
覚えるポイント
- 波線の図記号は、洪水・内水氾濫に関係する。
- 警戒レベル3は「高齢者等避難」である。
- 高齢者、障害のある人、避難支援者などは、警戒レベル3で避難を開始する。
- 垂直避難は、建物の低層階から安全な上層階へ移動することである。
- 実際の避難方法は、ハザードマップ、自治体の情報、施設の避難確保計画に従って判断する。
- 災害時は、家族への連絡より先に利用者の生命と安全を確保する。