36Q69第36回 介護福祉士国家試験 過去問

介護介護の基本

Bさん(61歳、男性、要介護3)は、脳梗塞(cerebral infarction)による左片麻痺{ひだりかたまひ}がある。週2回訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、妻(58歳)と二人暮らしである。自宅での入浴が好きで、妻の介助を受けながら、毎日入浴している。サービス提供責任者に、Bさんから、「浴槽から立ち上がるのがつらくなってきた。何かいい方法はないですか」と相談があった。 Bさんへのサービス提供責任者の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 4

正答

4.入浴補助用具で本人の力を生かせるように、特定福祉用具販売の利用を勧める。

この問題のポイント

Bさんが大切にしている「自宅での毎日の入浴」を続けながら、左片麻痺があっても残っている力を活かし、安全に浴槽から立ち上がる方法を考える問題です。

介護保険の特定福祉用具販売には、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台などの入浴補助用具が含まれます。身体状況と浴室環境に合う用具を選ぶことで、本人の動作を支え、妻の介助負担も軽減できます。

解説

Bさんは、自宅の浴槽で入浴することを好み、現在も妻の介助を受けながら毎日入浴しています。課題は「浴槽から立ち上がりにくくなったこと」です。支援では、入浴そのものを別の場所へ置き換える前に、本人が望む自宅入浴を安全に継続できる方法を検討します。

入浴補助用具には、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、入浴用いす、入浴用介助ベルトなどがあります。例えば、浴槽内いすで浴槽底から座面までの高さを上げると、立ち上がりに必要な膝や股関節の力を少なくできます。浴槽用手すりは、非麻痺側の上肢で支持しやすい位置に設置することで、本人の力を活かせる場合があります。

ただし、用具は名称だけで選びません。左片麻痺の程度、立位保持、非麻痺側の筋力、関節可動域、浴槽の高さ・幅、手すりを握る位置、床の滑りやすさ、妻の介助方法などを評価します。介護支援専門員や福祉用具専門相談員、必要に応じて理学療法士・作業療法士などと連携し、実際の動作に合う用具を選びます。

介護保険の住宅改修では、手すりの取付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、扉の取替えなどが対象になり得ます。しかし、浴室を広くする大規模な改築を、そのまま住宅改修費の対象として勧めることは適切ではありません。

自立生活援助と行動援護は、障害福祉制度のサービスであり、本事例の要介護3で左片麻痺のあるBさんに対する入浴動作の課題へ直接対応する選択ではありません。

ひっかけポイント
「入浴を続ける」ことと「自宅の浴槽で入浴を続ける」ことは同じではありません。本人が大切にしている場所や方法を読み取り、最小限の支援で実現できる選択肢を優先します。

介護実践でのポイント
用具を導入する前に、本人と妻へ目的と使い方を説明し、試用して安全性を確認します。湯温、体調、麻痺側の保護、滑り、立ちくらみ、浴槽内での姿勢も観察し、無理な立ち上がりをさせません。

選択肢の確認

1.Bさんがひとりで入浴できるように、自立生活援助の利用を勧める。
適切ではありません。
自立生活援助は、主に障害者支援施設や共同生活援助等から一人暮らしへ移行した障害者などを対象に、定期訪問や相談対応を行う障害福祉サービスです。本事例の入浴動作の課題への直接的な対応ではありません。

2.浴室を広くするために、居宅介護住宅改修費を利用した改築を勧める。
適切ではありません。
介護保険の住宅改修は、手すりの取付けや段差解消など一定の工事が対象です。浴室を広くする大規模な改築をそのまま対象として勧めるのは適切ではありません。

3.妻の入浴介助の負担が軽くなるように、行動援護の利用を勧める。
適切ではありません。
行動援護は、知的障害や精神障害により行動上の著しい困難があり、危険回避などの援護が必要な人を対象とする障害福祉サービスです。左片麻痺による浴槽からの立ち上がりへの支援ではありません。

4.入浴補助用具で本人の力を生かせるように、特定福祉用具販売の利用を勧める。
正答。最も適切です。
浴槽用手すりや浴槽内いすなどを身体状況と浴室環境に合わせて用いると、本人の残存機能を活かし、自宅での入浴を安全に続けられる可能性があります。

5.Bさんが入浴を継続できるように、通所介護(デイサービス)の利用を勧める。
適切ではありません。
通所介護での入浴も選択肢になり得ますが、Bさんは自宅で毎日入浴することを大切にしています。まず、自宅での入浴を安全に継続するための用具と介助方法を検討するのが適切です。

覚えるポイント

特定福祉用具販売には、入浴補助用具が含まれます。

浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台などは、浴槽への出入りや立ち上がりを助けます。

福祉用具は、本人の身体機能、浴室環境、希望、介助者の負担を踏まえて選びます。

住宅改修費の対象は限定され、大規模な増築・改築が当然に対象になるわけではありません。

本人が大切にしている生活を、残存機能と適切な用具で支えることが自立支援です。

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