36Q40|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)であるアパシー(apathy)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.感情の起伏がみられない。
この問題のポイント
アパシーは、意欲、関心、自発性や感情反応が低下した状態です。抑うつでは、悲しさ、落ち込み、絶望感、自責感などのつらい感情が前面に出やすいのに対し、アパシーでは自分や周囲への関心そのものが乏しくなることが特徴です。
解説
アパシーは、認知症の行動・心理症状の一つで、意欲や関心の低下、行動を始める力の低下、感情反応の乏しさなどがみられる状態です。そのため、表情が乏しい、感情の起伏がみられない、自分から活動を始めない、以前楽しんでいたことにも関心を示さないといった様子がみられます。
アパシーとうつ状態は、どちらも活動性が低下するため混同されやすいものです。しかし、うつ状態では、気分の落ち込み、将来への絶望感、自責感など、本人がつらさを感じていることが多くあります。アパシーでは、そのような苦悩を積極的に訴えるよりも、自分自身や周囲の出来事への関心が乏しくなります。
ただし、アパシーとうつ状態が併存することもあります。観察だけで決めつけず、症状の経過や生活への影響を確認し、医療職と連携することが必要です。
ひっかけポイント
「何もしたがらない」ことだけでは、アパシーとうつ状態を区別できません。アパシーは意欲・関心・感情反応の低下が中心です。将来への絶望、気分の落ち込み、自責感は、抑うつを考える手がかりになります。
介護実践でのポイント
アパシーのある人を「怠けている」「やる気がない」と評価しないことが大切です。本人が以前好んでいた活動や役割を把握し、「参加しますか」と大きな判断を求めるだけでなく、「こちらとこちらのどちらにしますか」など小さな選択肢を示します。一度に多くを求めず、活動を小さな手順に分け、本人の反応や疲労に合わせます。急な変化がある場合は、せん妄、感染症、脱水、痛み、薬の影響なども考えて報告します。
選択肢の確認
1.感情の起伏がみられない。
正しいです。
アパシーでは、意欲や関心だけでなく感情反応も乏しくなり、表情や感情の起伏が目立たなくなることがあります。
2.将来に希望がもてない。
誤りです。
将来への希望がもてないという絶望感は、抑うつ状態でみられやすい認知・感情です。アパシーの中心は、意欲や関心、自発性の低下です。
3.気持ちが落ち込む。
誤りです。
持続的な気分の落ち込みは、うつ状態の代表的な症状です。アパシーでは、悲しさよりも無関心や意欲低下が目立ちます。
4.理想どおりにいかず悩む。
誤りです。
理想と現実の違いについて悩むことは、本人がその問題に強い関心をもち、苦悩している状態です。周囲や自分の状態への関心が低下するアパシーの特徴とは異なります。
5.自分を責める。
誤りです。
過度の罪悪感や自責感は、抑うつ状態でみられやすい症状です。アパシーでは、自分の状態についての訴え自体が少ないことがあります。
覚えるポイント
- アパシー:意欲・関心・自発性・感情反応の低下。
- うつ状態:気分の落ち込み、絶望感、自責感など。
- 活動しないことを「怠け」と決めつけない。
- アパシーとうつ状態は併存することもある。
- 急な意欲低下では、身体疾患、せん妄、痛み、薬の影響も確認する。