36Q118|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。 〔事 例〕 Dさん(70歳、男性)は、自宅で妻と二人暮らしで、年金収入で生活している。ある日、車を運転中に事故に遭い救急搬送された。医師からは、第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(spinal cord injury)と説明を受けた。Dさんは、入院中に要介護3の認定を受けた。 Dさんは、退院後は自宅で生活することを望んでいた。妻は一緒に暮らしたいと思うが、Dさんの身体状況を考えると不安を感じていた。介護支援専門員(ケアマネジャー)は、「退院後は、在宅復帰を目的に、一定の期間、リハビリテーション専門職がいる施設で生活してはどうか」とDさんに提案した。Dさんは妻と退院後の生活について話し合った結果、一定期間施設に入所して、その間に、自宅の住宅改修を行うことにして、介護支援専門員(ケアマネジャー)に居宅介護住宅改修費について相談した。 次のうち、介護支援専門員(ケアマネジャー)がDさんに説明する居宅介護住宅改修費の支給限度基準額として、適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 3
正答
3.20万円
この問題のポイント
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は、要介護状態区分にかかわらず、原則として被保険者1人につき同一住宅で累計20万円です。支給限度基準額と、実際に保険から支給される金額を混同しないことが重要です。
解説
介護保険の居宅介護住宅改修費は、要介護者が自宅で安全に生活し、自立した日常生活を続けられるように、比較的小規模な住宅改修を行ったときに支給されます。支給限度基準額は、要介護度にかかわらず20万円です。
20万円は、本人に一律20万円が現金で支給されるという意味ではありません。支給対象となる工事費の上限であり、その範囲内で利用者の負担割合に応じて7割から9割が保険給付となります。20万円を超えた部分は、原則として全額自己負担です。
支給対象には、手すりの取付け、段差の解消、滑りにくい床材などへの変更、引き戸などへの扉の取替え、洋式便器などへの便器の取替え、これらに付帯して必要となる工事があります。原則として工事前に市町村へ申請し、保険給付の対象になることを確認してから着工します。
同一住宅では、それまでに利用した対象工事費を20万円から差し引いて管理します。ただし、転居した場合や、介護の必要度が所定の段階以上重くなった場合には、改めて支給限度基準額が認められることがあります。
ひっかけポイント
「支給限度基準額20万円」は「保険から必ず20万円支給される」という意味ではありません。対象工事費の上限が20万円であり、その範囲にも利用者負担があります。また、要介護度が高いほど限度額が増える制度ではありません。
介護実践でのポイント
住宅改修では、本人が自宅でどのような生活をしたいかを出発点にします。介護福祉職は、移乗、排泄、入浴、屋内移動などで困る場面を具体的に伝え、介護支援専門員、理学療法士、作業療法士、施工事業者などと連携します。工事前に動作を想定し、手すりの高さや位置、車いすの回転スペースなどを本人と確認します。介護福祉職だけで工事内容や給付対象を決定せず、市町村への事前申請を確認します。
選択肢の確認
1.10万円
誤りです。
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は10万円ではありません。10万円は介護保険の特定福祉用具購入費の年間支給限度基準額と混同しやすい金額です。
2.15万円
誤りです。
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額として15万円という設定はありません。
3.20万円
正しいです。
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は、要介護状態区分にかかわらず、原則として被保険者1人につき同一住宅で累計20万円です。
4.25万円
誤りです。
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は25万円ではありません。自治体独自の助成制度が設けられる場合はありますが、介護保険制度上の基準額とは区別します。
5.30万円
誤りです。
居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は30万円ではありません。Dさんが要介護3であっても、要介護度に応じて基準額が30万円に増えることはありません。
覚えるポイント
- 居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は20万円である。
- 要介護度にかかわらず、原則として同じ限度額である。
- 20万円は対象工事費の上限であり、全額が保険給付されるわけではない。
- 同一住宅では、対象工事費を累計して限度額を管理する。
- 原則として工事前に市町村へ申請する。
- 改修内容は本人の生活目標と実際の動作を確認して決める。