35Q94第35回 介護福祉士国家試験 過去問

介護生活支援技術

利用者の便失禁を改善するための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 3

正答

3.便意がはっきりしない人には、朝食後に時間を決めてトイレへ誘導する。

この問題のポイント

便失禁を改善するには、すぐにおむつを使用するのではなく、便の状態、排便時間、便意、移動能力、認知機能、服薬などを把握し、原因に応じて支援します。便意がはっきりしない人には、胃・結腸反射が起こりやすい朝食後の定時誘導が有効です。

解説

食べ物が胃に入ると、その刺激によって大腸の運動が活発になる「胃・結腸反射」が起こります。特に朝食後はこの反射が起こりやすく、排便につながりやすい時間帯です。

便意をはっきり感じにくい人でも、排便しやすい時間を把握して定期的にトイレへ行くことで、排便の習慣をつくり、便失禁を予防できる場合があります。ただし、一律の時刻に誘導するのではなく、排便日誌などから本人の排便パターンを確認し、本人の同意を得て時間を調整します。

便失禁には、軟便や下痢、便秘による便の漏れ、肛門括約筋機能の低下、便意の低下、トイレまでの移動や衣服の着脱が間に合わないことなど、さまざまな原因があります。そのため、失禁の時刻、便の量・性状、食事・水分、活動量、下剤を含む服薬、腹部症状などを総合的に把握します。

ひっかけポイント

「便失禁があるからおむつ」と短絡しないことが重要です。問題は失禁後の処理ではなく、便失禁を「改善する」対応を尋ねています。排便しやすい時間帯と本人の排便パターンを利用した定時誘導が適切です。

介護実践でのポイント

排泄は非常に私的な行為です。人前で失禁について話したり、失敗を責めたりせず、本人が安心して話せる場所で希望を確認します。排便時刻、便の性状、失禁の有無、食事・水分量、服薬などを記録し、本人に合う誘導時間を検討します。血便、強い腹痛、急な下痢、発熱、便秘後の水様便などがみられる場合は医療職へ報告します。

選択肢の確認

1.トイレの場所がわからない認知症(dementia)の人には、ポータブルトイレを設置する。
誤りです。 まず、分かりやすい表示、照明、目印、動線の整理、声かけなど、トイレを認識しやすい環境を検討します。ポータブルトイレが適する場合もありますが、一律に設置する対応ではありません。

2.移動に時間がかかる人には、おむつを使用する。
誤りです。 早めの声かけ、動線の短縮、衣服の工夫、移動補助具などを検討します。直ちにおむつを使用することは、トイレで排泄する能力を生かした支援になりません。

3.便意がはっきりしない人には、朝食後に時間を決めてトイレへ誘導する。
正しいです。 朝食後は胃・結腸反射によって大腸の運動が活発になり、排便しやすくなります。本人の排便パターンに合わせた定時誘導は、便失禁の予防・改善につながります。

4.下剤を内服している人には、下剤の内服を中止する。
誤りです。 介護福祉職が自己判断で処方薬を中止してはいけません。便の性状、排便回数、失禁時刻などを記録し、下剤の影響が疑われる場合は医療職へ報告します。

5.便失禁の回数が多い人には、食事の提供量を減らす。
誤りです。 食事量を減らすと、低栄養、便量の減少、便秘、体力低下につながる危険があります。原因を評価せずに食事量を制限することは不適切です。

覚えるポイント

  • 便失禁では、原因と本人の排便パターンを把握する。
  • 朝食後は胃・結腸反射によって排便しやすい。
  • おむつは失禁を改善するものではなく、必要性を個別に判断する。
  • 介護福祉職が自己判断で下剤を中止しない。
  • 本人の尊厳、羞恥心、プライバシーに配慮する。

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