35Q119|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。 〔事 例〕 Bさん(75歳、男性、要介護3)は、1年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し、右片麻痺{みぎかたまひ}がある。自宅では、家具や手すりにつかまって、なんとか自力歩行し、外出時は車いすを使用していた。うまく話すことができないこともあるが、他者の話を聞き取って理解することは、問題なくできていて、介護保険サービスを利用しながら、一人で暮らしていた。数か月前から着替えや入浴に介助が必要になり、在宅生活が難しくなったため、1週間前にU介護老人福祉施設に入所した。 入所時の面談でBさんは、自分の力で歩きたいという意思を示した。U介護老人福祉施設では、C介護福祉士をBさんの担当者に選定した。C介護福祉士は、カンファレンス(conference)での意見に基づいて、Bさんが、四点杖{よんてんづえ}を使用して、安全に施設内を歩行できることを短期目標とした介護計画を立案した。 入所から3か月後、C介護福祉士は、Bさんの四点杖歩行{よんてんづえほこう}が安定してきたことを確認して介護計画を見直すことにした。C介護福祉士がBさんに、今後の生活について確認したところ、居室から食堂まで、四点杖{よんてんづえ}で一人で歩けるようになりたいと思っていることがわかった。 Bさんの現在の希望に沿って介護計画を見直すときに、最も優先すべきものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.生活場面の中で歩行する機会を増やす。
この問題のポイント
介護計画の見直しでは、現在の本人の希望を出発点にします。Bさんの希望は「居室から食堂まで、四点杖で一人で歩けるようになりたい」という具体的な生活上の目標です。したがって、実際の生活場面で歩く機会を増やすことを最優先にします。
解説
Bさんは入所時から「自分の力で歩きたい」と希望し、3か月後には四点杖歩行が安定してきています。さらに、現在の希望として「居室から食堂まで一人で歩きたい」と述べています。この希望を実現するには、訓練の時間だけ歩くのではなく、食堂への移動など日常生活の中に安全な歩行機会を組み込み、身についた力を実際の生活に結びつけることが大切です。
居室から食堂までの距離、床面、曲がり角、混雑、履物、四点杖の状態、疲労、見守りの必要性などを再評価し、段階的な目標、支援方法、実施時期、評価日を具体化します。「歩行機会を増やす」とは回数だけを無理に増やすことではなく、本人の体調と意思を確認し、成功しやすい生活場面を選ぶことです。
ひっかけポイント
介護計画は、施設の都合や集団活動のしやすさを優先するものではありません。また、能力が安定してきたから評価をやめるのでもありません。「本人が今どのような生活を望んでいるか」と「その希望に直接つながる支援か」で判断します。
介護実践でのポイント
機能訓練で獲得した力を、食事、排泄、入浴、移動など本人に意味のある生活行為へつなげます。実施後は、歩行の安定性だけでなく、本人の満足感、疲労、恐怖、生活範囲の変化も確認し、計画を見直します。
選択肢の確認
1.生活場面の中で歩行する機会を増やす。
正しいです。 Bさんの「居室から食堂まで、四点杖で一人で歩きたい」という現在の希望に直接つながり、獲得した歩行能力を日常生活で生かす内容です。
2.評価日は設定しない。
誤りです。 介護計画には評価の時期を定め、目標の達成状況、支援方法の有効性、本人の希望や状態の変化を確認する必要があります。
3.ほかの利用者と一緒に実施できる内容にする。
誤りです。 集団で実施できるかを優先すると、Bさんの個別の希望や歩行状態に合わない計画になる可能性があります。
4.他者との交流を目標にする。
誤りです。 他者との交流は大切ですが、Bさんが示している現在の希望は、居室から食堂まで一人で歩けるようになることです。
5.歩行練習を行う時間は、出勤している職員が決めるようにする。
誤りです。 職員の都合だけで時間を決める支援者中心の方法です。Bさんの希望、生活リズム、体調、安全性を確認し、本人と相談して計画します。
覚えるポイント
- 介護計画の中心は、利用者本人の現在の希望である。
- 獲得した機能は、本人に意味のある生活場面で活用する。
- 目標、方法、期間、評価日を具体的にし、実施・評価・修正を続ける。