35Q114|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで,問題 114 から問題 116 までについて答えなさい。 〔事 例〕Aさん(80 歳,女性)は,自宅で一人暮らしをしている。同じ県内に住む娘が,月に一度Aさんの自宅を訪れている。 最近,Aさんの物忘れが多くなってきたため,不安になった娘が,Aさんと一緒に病院を受診したところ,医師から,脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)であると診断された。Aさんはこのまま自宅で暮らすことを希望し,介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら一人暮らしを継続することになった。 ある日,娘からサービス提供責任者に,今年はAさんが一人で雪かきができるか不安であると相談があった。そこで,サービス提供責任者が,Aさんと一緒に地区の民生委員に相談したところ,近所の人たちが雪かきをしてくれることになった。 図は脳を模式的に示したものである。Aさんの脳に萎縮が顕著にみられる部位として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

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正解: 4
正答
4.D
この問題のポイント
事例には、「脳の記憶をつかさどる部分が顕著に萎縮したアルツハイマー型認知症」とあります。図のDが示しているのは、側頭葉の内側にある海馬です。
海馬は、新しく経験したことを記憶として形成・定着させるうえで重要な部位です。アルツハイマー型認知症では、比較的早期から海馬やその周辺の萎縮が目立ちます。
解説
図は、脳の内側を横から見た模式図です。しま模様で描かれた後下方のEが小脳なので、図の左側が前方、右側が後方だと判断できます。
Dの矢印は、大脳の内側下部にある、細長く湾曲した海馬を示しています。海馬は側頭葉内側に位置し、入ってきた情報を新しい記憶としてまとめ、長期記憶へつなげる働きに深く関わります。海馬が障害されると、直前の会話や最近の出来事など、新しいことを覚えておくことが難しくなりやすくなります。
アルツハイマー型認知症では進行につれて脳の広い範囲が影響を受けますが、典型的には海馬やその周辺の萎縮が比較的早い段階から目立ちます。事例の「記憶をつかさどる部分」と図の位置を結びつけると、Dが最も適切です。
ひっかけポイント
まず、しま模様のEが小脳であることから脳の前後を確認します。Aは前頭葉付近、Bは頭頂葉付近、Cは後頭葉付近です。本問は「記憶をつかさどる部分」を尋ねているため、側頭葉内側のD=海馬を選びます。
介護実践でのポイント
海馬の障害による物忘れを、本人の怠慢や意欲不足と捉えてはいけません。予定を見える場所に示す、物の置き場所を一定にする、なじみのある手順を活用するなど、記憶を環境で補います。Aさんが望む一人暮らしを尊重しながら、本人、家族、医療・介護職、地域住民が連携します。
選択肢の確認
1.A
誤りです。 Aは前頭葉付近を示しています。前頭葉は、計画、判断、行動の調整、感情や意欲、随意運動などに関わりますが、本問で問われる海馬ではありません。
2.B
誤りです。 Bは頭頂葉付近を示しています。頭頂葉は、感覚情報の統合や空間の認識、目的のある動作などに関わります。
3.C
誤りです。 Cは後頭葉付近を示しています。後頭葉は主に視覚情報の処理に関わり、海馬を示す部位ではありません。
4.D
正しいです。 Dは側頭葉内側の海馬を示しています。海馬は新しい記憶の形成・定着に重要で、アルツハイマー型認知症では海馬やその周辺の萎縮が比較的早期から目立ちます。
5.E
誤りです。 Eは小脳を示しています。小脳は姿勢や平衡の維持、運動の調整、運動学習などに関わります。
覚えるポイント
- 海馬は側頭葉の内側に位置する。
- 海馬は、新しい記憶の形成と定着に重要な役割をもつ。
- Aは前頭葉付近、Bは頭頂葉付近、Cは後頭葉付近、Dは海馬、Eは小脳である。
- 物忘れを本人の努力不足と捉えず、環境の工夫で記憶を補う。