35Q11|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
Fさん(19 歳,女性,身体障害者手帳 2 級)は,先天性の聴覚障害がある。Fさんは大学生で,授業のときは手話通訳者が配置されている。Fさんは筆記による定期試験を受けることになり,試験実施に関する配慮を大学に申し出た。次の記述のうち,Fさんの申し出を踏まえた合理的配慮として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4.試験監督者が口頭で説明する内容を書面で渡す。
この問題のポイント
合理的配慮とは、障害のある人が他の人と同等に参加できるように、本人の申し出と障害特性を踏まえて社会的障壁を取り除くための個別の調整を行うことです。
Fさんには聴覚障害があり、試験そのものは筆記で行われます。試験監督者が口頭だけで伝える注意事項や変更内容を書面でも渡せば、試験で評価する内容を変えずに、必要な情報を同じように受け取ることができます。
解説
筆記試験中には、試験開始前の注意事項、問題の訂正、残り時間、提出方法、緊急時の指示などが口頭で伝えられることがあります。聴覚障害のあるFさんに口頭だけで説明すると、試験に必要な情報へアクセスできない可能性があります。
そこで、口頭で説明する内容を同じタイミングで書面や文字情報として伝えます。これは、問題の答えを教えたり、評価基準を下げたりするものではありません。情報を受け取る方法を調整して、他の受験者と公平に試験へ参加できるようにする合理的配慮です。
合理的配慮は、障害名や手帳の等級だけで一律に決めるものではありません。Fさんの申し出を丁寧に確認し、手話、筆談、文字表示など、本人が最も確実に情報を得られる方法について大学と本人が話し合います。
ひっかけポイント
合理的配慮は、全員に同じ対応をすることではありません。また、試験を有利にする特別扱いでもありません。評価する能力や試験の本質は変えず、障害によって生じる情報取得上の障壁を取り除きます。
介護実践でのポイント
聴覚障害のある人への情報保障では、本人が希望するコミュニケーション方法を最初に確認します。口頭説明を文字でも示し、表情や口元が見える位置で話し、緊急時の情報も視覚的に伝えられるようにします。「聴覚障害があるからこの方法」と決めつけず、本人との対話で調整します。
選択肢の確認
1.受験時間を延長する。
誤りです。
試験時間の延長が合理的配慮となる場合もありますが、障害特性や試験内容に応じた個別の検討が必要です。本問の筆記試験で直接問題となるのは、口頭説明を聞き取れない可能性であり、その内容を文字で保障することが優先されます。
2.試験問題の文字を拡大する。
誤りです。
文字の拡大は、主に視覚障害や小さい文字の読み取りに困難がある人への配慮です。Fさんに示されているのは聴覚障害であり、口頭情報を文字化することが適切です。
3.テキストの持ち込みを許可する。
誤りです。
テキストの持ち込みは、試験で評価する知識や条件そのものを変える可能性があります。聴覚による情報取得の障壁を取り除く方法ではありません。
4.試験監督者が口頭で説明する内容を書面で渡す。
正しいです。
口頭で伝えられる注意事項や変更内容を文字でも提示すれば、Fさんは他の受験者と同じ情報を得られます。試験内容や評価基準を変えずに情報取得上の障壁を取り除く合理的配慮です。
5.問題を読み上げる。
誤りです。
問題の読み上げは、視覚障害や文字の読み取りに困難がある人への配慮となる場合があります。聴覚障害のあるFさんに音声だけで情報を追加しても、必要な情報保障にはなりません。
覚えるポイント
- 合理的配慮は、本人の申し出と個別の障害特性を踏まえて検討する。
- 配慮の目的は、障害による社会的障壁を取り除き、参加機会を保障することである。
- 試験では、評価する能力や試験の本質を変えないことが基本である。
- 聴覚障害への情報保障には、書面、筆談、文字表示、手話などがある。
- 口頭で伝える注意事項や緊急情報も、視覚的に伝達する。
- 障害名や手帳の等級だけで方法を決めず、本人の希望を確認する。
- 現在は、行政機関等に加え、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられている。