37PM123第37回 管理栄養士国家試験 過去問

臨床栄養学第37回午後・問111〜136

53 歳、男性。標準体重64 kg の肝硬変患者。血清アルブミン値2.2 g/dL、血清フェリチン値200 ng/mL(基準値15~160 ng/mL)、腹水・浮腫あり、肝性脳症が認められる。この患者に肝不全用経腸栄養剤630 kcal を投与した際の、食事から摂取する1 日当たりの目標栄養量に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1 つ選べ。

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正解: 2

正答

2

この問題のポイント

肝性脳症を伴う非代償性肝硬変で、肝不全用経腸栄養剤630kcalを併用したときの「食事から」摂取する1日目標栄養量を選ぶ問題です。病態に応じたエネルギー・たんぱく質・食塩・鉄・食物繊維の考え方が問われています。

解説

この患者は、低アルブミン血症、腹水・浮腫、肝性脳症がある非代償性肝硬変です。食事と肝不全用経腸栄養剤を合わせた総投与量で評価します。

肝不全用経腸栄養剤は、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を多く含みます。食事からたんぱく質40 gをとり、栄養剤由来のたんぱく質も合わせると、低栄養を防ぎながら必要量を確保できます。肝性脳症があるからといって、たんぱく質を長期間過度に制限すると、筋肉量が減ってアンモニア処理能も低下するため注意が必要です。症状に応じた一時的な調整は、治療方針に沿って行います。

エネルギーは標準体重64 kgに見合う総量を確保する必要があり、栄養剤630 kcalと食事600 kcalの合計1,230 kcalでは不足します。腹水・浮腫があるため食塩は6 g/日未満とします。フェリチンは基準値を上回っているため、鉄を12 mg以上に増やす目標は立てません。ただし、フェリチン高値だけで鉄過剰を断定せず、炎症なども含めて評価します。食物繊維は便通を整え、腸管内でのアンモニア産生・吸収を抑える方向に働くため、10 g以下には制限しません。

選択肢の確認

1.エネルギーは、600 kcal とする。
最も適当とはいえない。食事600 kcalに栄養剤630 kcalを加えても総量は1,230 kcalです。標準体重64 kgの患者に必要な総エネルギー量に対して不足し、低栄養を悪化させるおそれがあります。

2.たんぱく質は、40 g とする。
最も適当である。食事から40 gをとり、BCAAを多く含む肝不全用経腸栄養剤由来のたんぱく質も合わせて総量を確保する設定です。肝性脳症があっても、長期の過度なたんぱく質制限は避けます。

3.食塩は、8 g とする。
最も適当とはいえない。腹水・浮腫があるため食塩は6g未満に制限します。8gは多すぎます。

4.鉄は、12 mg 以上とする。
最も適当とはいえない。血清フェリチン値は基準値を上回っており、鉄を積極的に12 mg以上へ増やす根拠はありません。フェリチンは炎症でも上昇するため、他の検査所見と合わせて判断します。

5.食物繊維は、10 g 以下とする。
最も適当とはいえない。食物繊維は腸内でのアンモニア産生抑制や便通改善に役立つため、10g以下に制限するのではなく十分に確保します。

覚えるポイント

  • 食事と肝不全用経腸栄養剤を合算し、必要なたんぱく質とエネルギーを確保する
  • 腹水・浮腫があれば食塩6g未満
  • 肝性脳症でも長期の過度なたんぱく質制限は避け、BCAAを活用する

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