76AM85|第76回 診療放射線技師国家試験 過去問
腹部造影 CT 像を別に示す。 考えられるのはどれか。

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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
この問題では、腹部造影 CT 横断像から 腹部大動脈瘤破裂を疑う所見を読み取ります。
画像では、椎体前方の腹部大動脈領域に、著明に拡大した動脈瘤様構造がみられます。
その周囲、特に患者左側の後腹膜腔に広がる軟部濃度の血腫様陰影があり、腹部大動脈瘤破裂による後腹膜出血が最も考えられます。
解説
腹部造影 CT では、まず画像の向きを確認します。
- A:腹側
- P:背側
- R:患者右側
- L:患者左側
腹部大動脈は通常、椎体の前方やや左側を走行します。
提示画像では、この大動脈の位置に一致して、動脈瘤を示す大きな腫瘤状構造がみられます。内部には高吸収の造影血管腔があり、周囲には血栓や血腫を疑う低〜軟部濃度領域が広がっています。
さらに、動脈瘤周囲から後腹膜腔へ連続する血腫様陰影が認められます。これは、腹部大動脈瘤が破裂し、出血が後腹膜へ広がっている所見として重要です。
腹部大動脈瘤破裂では、CT で次のような所見がみられます。
- 腹部大動脈の著明な拡張
- 動脈瘤内の壁在血栓
- 動脈瘤周囲の血腫
- 後腹膜血腫
- 造影剤の血管外漏出を疑う高吸収域
- 周囲臓器の圧排
この画像では、腸管拡張を主体とする腸閉塞、尿路に沿った結石、胆囊壁肥厚や胆囊周囲炎症、腹腔内遊離ガスを示す消化管穿孔よりも、腹部大動脈瘤破裂が最も整合します。
画像でまず見るポイント
腹部造影 CT で椎体前方の大動脈が大きく拡張しているかを確認します。
その周囲に後腹膜血腫があれば、腹部大動脈瘤破裂を強く疑います。
ひっかけポイント
腹部大動脈瘤破裂の出血は、腹腔内ではなく 後腹膜腔に広がることが多いです。
そのため、腸管の間に遊離ガスを探すより、まず大動脈周囲と後腹膜の血腫を確認します。
選択肢の確認
1.誤り。
腸閉塞では、拡張した腸管、腸管内液体貯留、niveau〈鏡面像〉、閉塞部位の口側拡張などが主所見です。この画像の主所見は腸管拡張ではなく、大動脈周囲の異常と後腹膜血腫です。
2.誤り。
尿管結石では、尿管走行に沿った高吸収結石、腎盂尿管拡張、水腎症などを確認します。この画像では尿管結石よりも、腹部大動脈瘤と周囲出血を疑う所見が目立ちます。
3.誤り。
急性胆囊炎では、胆囊腫大、胆囊壁肥厚、胆囊周囲液体貯留、胆石などが重要です。提示画像の主病変は胆囊ではなく、腹部大動脈周囲にあります。
4.誤り。
消化管穿孔では、腹腔内遊離ガス、腹水、消化管壁肥厚などが手がかりになります。この画像では遊離ガスよりも、大動脈瘤周囲の後腹膜血腫が重要です。
5.正しい。
椎体前方の腹部大動脈が瘤状に拡大し、周囲に後腹膜血腫を疑う陰影がみられます。腹部造影 CT の所見として、腹部大動脈瘤破裂が最も考えられます。
覚えるポイント
- 腹部大動脈は 椎体前方やや左側を走行します。
- 腹部大動脈瘤では、大動脈の著明な拡張と壁在血栓を確認します。
- 破裂では、動脈瘤周囲や後腹膜腔に血腫が広がります。
- 腹部大動脈瘤破裂は緊急性が高い疾患です。
- 腹部造影 CT で大動脈瘤と後腹膜血腫を見たら、腹部大動脈瘤破裂を第一に考えます。
