120A67|第120回 医師国家試験 過去問
16歳の女子。毎月の月経時の強い下腹部痛を主訴に来院した。初経時より月経時の強い下腹部痛を自覚するようになった。月経時の下腹部痛が増強し、自宅近くの医療機関を受診したところ、左腎無形成と診断された。その後も毎月強い月経困難症が持続するため、紹介されて来院した。定期的な月経はあるが、毎回月経2~3日目に強い下腹部痛が出現し、鎮痛薬でも効果が乏しい。性交歴はない。初経は13歳。月経周期は28日型、整。経血量は正常範囲内である。体温36.0℃。脈拍88/分、整。血圧114/72mmHg。左下腹部に径10cmの腫瘤を触知し、付属器は触知しない。同部に圧痛を認める。骨盤部単純MRIのT2強調像を別に示す。 最も考えられるのはどれか。

解答・解説を見る
正解: a
正解
a 子宮奇形
解説
この症例で最も考えられるのは、ミュラー管奇形による子宮奇形です。
とくに、
- 初経時から強い月経困難症がある。
- 月経は規則的にある。
- 毎月、月経2〜3日目に強い疼痛が出る。
- 左下腹部に腫瘤を触れる。
- 左腎無形成を合併している。
という点が重要です。
これは、片側閉塞を伴う重複子宮、あるいは閉塞副角子宮などの先天性子宮奇形を強く示唆します。月経血の流出障害があるため、周期的な強い疼痛と腫瘤形成をきたします。
この症例をどう考えるか
若年で、初経時から続く重い月経困難症では、機能性月経困難症だけでなく器質的異常を考える必要があります。
とくに、腎尿路奇形は子宮奇形と合併しやすいため、左腎無形成という情報は非常に重要です。国試では、この組合せを見たらまず子宮奇形を疑います。
各選択肢の検討
a 子宮奇形
正しいです。周期的疼痛、骨盤内腫瘤、腎無形成の合併から最も典型的です。b 子宮筋腫
誤りです。16歳で子宮筋腫はまれであり、初経時からの重い疼痛や腎無形成との関連も説明しにくいです。c 卵巣嚢腫
誤りです。骨盤内腫瘤は説明できますが、月経周期に一致した強い疼痛や腎無形成との関連が乏しいです。d 子宮腺筋症
誤りです。通常は経産婦や30〜40歳代に多く、16歳で初経時からの症状として考えるのは不自然です。e 子宮内膜ポリープ
誤りです。不正出血の原因として重要ですが、この症例のような強い周期性疼痛や腫瘤は説明できません。
ひっかけポイント
若年女性の下腹部腫瘤では卵巣嚢腫を選びたくなりますが、この問題では左腎無形成が最大のヒントです。
腎奇形と子宮奇形は合併しやすいため、この情報を見落とさないことが重要です。
覚えるポイント
- 若年で初経時から強い月経困難症がある。
- 月経はあるのに、周期的に強い疼痛を繰り返す。
- 腎無形成を合併している。
この組合せなら、まず子宮奇形を考えます。