34PM119|第34回 柔道整復師国家試験 過去問
40歳の男性。バドミントンでジャンプして着地した際、右下腿部に棒で殴られたような衝撃を感じプレー続行不能となった。術者が左手で下腿部を把持した状態の写真を別に示す。初期の固定肢位で正しいのはどれか。

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正解: 4
正答
4.膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位
この問題のポイント
この問題では、バドミントンでジャンプして着地した際に、右下腿部に「棒で殴られたような衝撃」を感じ、プレー続行不能となっています。
この受傷状況から最も考えるべきなのは、アキレス腱断裂です。
提示画像では、術者が下腿部を把持しており、下腿三頭筋を圧迫して足関節の底屈反応を確認するトンプソンテストの場面を示しています。
アキレス腱断裂を疑う場合、初期固定では断裂した腱断端を近づけるために、膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位で固定します。
画像所見
写真では、術者が患者の下腿後面、つまり腓腹部を把持しています。
これは、下腿三頭筋を圧迫して足関節が底屈するかどうかを確認するトンプソンテストを示す画像です。
正常であれば、下腿三頭筋を把持・圧迫するとアキレス腱を介して踵骨が引かれ、足関節が底屈します。
しかし、アキレス腱が断裂していると、下腿三頭筋を圧迫しても力が踵骨へ伝わらないため、足関節底屈が起こりにくくなります。
この写真は、アキレス腱断裂を疑う検査場面を示しており、設問の「棒で殴られたような衝撃」という病歴と合わせて、アキレス腱断裂を考えるのがポイントです。
解説
アキレス腱断裂では、ジャンプ、ダッシュ、急な方向転換、踏み込み、着地などの際に発生しやすく、患者はしばしば「後ろから蹴られた」「棒で殴られた」「何かが当たった」と表現します。
本症例でも、バドミントンのジャンプ着地時に右下腿部へ棒で殴られたような衝撃を感じ、その後プレー続行不能となっています。これはアキレス腱断裂に典型的な受傷機転です。
アキレス腱は、腓腹筋・ヒラメ筋からなる下腿三頭筋と踵骨をつなぎ、足関節底屈に働きます。
断裂時に足関節を背屈させると、アキレス腱が伸張され、断裂した腱断端が離開しやすくなります。そのため、初期固定では足関節を底屈位にして、アキレス腱をたるませ、断端を近づけます。
また、腓腹筋は膝関節をまたぐ筋であるため、膝関節を伸展位にすると下腿三頭筋の緊張が高まりやすくなります。そこで、膝関節は軽度屈曲位として下腿三頭筋の緊張をゆるめます。
したがって、アキレス腱断裂の初期固定肢位は、膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位です。
選択肢の確認
1.膝関節伸展位・足関節背屈位
誤り。
足関節背屈位ではアキレス腱が伸張され、断裂した腱断端が離開しやすくなります。また、膝関節伸展位では腓腹筋の緊張も高まりやすいため、初期固定肢位として不適切です。
2.膝関節伸展位・足関節底屈位
誤り。
足関節底屈位は適切ですが、膝関節伸展位では腓腹筋の緊張が残りやすくなります。アキレス腱断裂の初期固定では、下腿三頭筋の緊張をゆるめるために膝関節は軽度屈曲位とします。
3.膝関節軽度屈曲位・足関節背屈位
誤り。
膝関節軽度屈曲位は適切ですが、足関節背屈位ではアキレス腱が伸張され、腱断端が離れやすくなります。断裂部の離開を防ぐため、足関節は底屈位で固定します。
4.膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位
正しい。
膝関節軽度屈曲位により下腿三頭筋、特に腓腹筋の緊張をゆるめます。さらに足関節底屈位にすることでアキレス腱をたるませ、断裂した腱断端を近づけます。アキレス腱断裂の初期固定肢位として最も適切です。
覚えるポイント
- ジャンプ着地時に「棒で殴られたような衝撃」を感じたら、アキレス腱断裂を疑う。
- 画像は、下腿三頭筋を把持・圧迫して足関節底屈の有無をみるトンプソンテストの場面である。
- アキレス腱断裂では、トンプソンテストで足関節底屈が起こりにくい。
- 初期固定は、断端を近づけるために膝関節軽度屈曲位・足関節底屈位とする。
- 足関節背屈位はアキレス腱断端を離開させやすいため避ける。
- 疑った場合は無理な歩行やストレッチを避け、速やかに医科へ紹介する。
