34PM113|第34回 柔道整復師国家試験 過去問
20歳の男性。2週前から右肩部後面の痛みと脱力感を自覚し、症状が軽快しないため来所した。棘下筋は萎縮し外旋筋力が低下しているが、棘上筋の筋力は保たれている。写真の★印で示した部分にしこりを触知する。考えられるのはどれか。

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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
この問題では、写真で示された肩後面のしこりと、棘下筋萎縮、肩関節外旋筋力低下から、肩甲上神経絞扼障害を判断します。
特に重要なのは、棘上筋の筋力は保たれているという点です。これは、肩甲上神経が棘上筋へ枝を出した後、棘下筋へ向かう部位で障害されていることを示唆します。
解説
写真では、背面から見た肩甲部が示されています。★印は肩後面の肩甲棘外側から棘下窩付近にあり、この部位にしこりを触知するという設定です。
肩甲上神経は、肩甲上切痕を通過したあと、まず棘上筋を支配し、その後に肩甲棘外側の棘窩切痕付近を通って棘下筋へ向かいます。
このため、障害部位によって症状が変わります。
肩甲上切痕付近で絞扼
棘上筋と棘下筋の両方が障害されやすい。棘窩切痕付近で絞扼
棘上筋は保たれ、棘下筋だけが障害されやすい。
この症例では、棘下筋萎縮と外旋筋力低下があり、棘上筋の筋力は保たれています。さらに★印部にしこりを触知するため、ガングリオンなどによって棘窩切痕付近で肩甲上神経が圧迫されている状態が考えられます。
図で見るポイント
写真では★印の位置が肩後面、肩甲棘外側から棘下窩付近にあります。ここは棘下筋へ向かう肩甲上神経が絞扼されやすい部位として確認します。
ひっかけポイント
棘上筋も障害されていれば肩甲上切痕付近の障害を考えます。棘上筋が保たれ、棘下筋だけが萎縮している場合は、より遠位の棘窩切痕付近での絞扼を疑います。
鑑別のポイント
腱板断裂でも肩の疼痛や筋力低下は起こりますが、写真のしこり、棘下筋限局の萎縮、棘上筋温存という組合せでは、神経絞扼を優先して考えます。
選択肢の確認
1.肩甲上神経絞扼障害
正しい。
肩甲上神経が棘窩切痕付近で絞扼されると、棘上筋は保たれたまま、棘下筋萎縮と外旋筋力低下がみられます。写真の★印部にしこりを触知することから、ガングリオンなどによる肩甲上神経の圧迫が考えられます。
2.腱板断裂
誤り。
腱板断裂では、棘上筋腱断裂による外転障害や疼痛、インピンジメント症状などが問題になります。この症例では棘上筋筋力が保たれ、棘下筋萎縮と外旋筋力低下が中心であるため、腱板断裂より肩甲上神経絞扼障害が考えやすいです。
3.SLAP損傷
誤り。
SLAP損傷は肩関節上方関節唇の損傷で、投球動作時痛、クリック、引っかかり感、上腕二頭筋長頭腱部痛などが問題になります。棘下筋萎縮を主所見とする疾患ではありません。
4.ベネット(Bennett)損傷
誤り。
ベネット損傷は投球肩でみられる肩関節後下方部の骨棘形成や後方部痛が中心です。棘下筋萎縮、外旋筋力低下、★印部のしこりによる神経圧迫を説明するには、肩甲上神経絞扼障害が適切です。
覚えるポイント
- 肩甲上神経は棘上筋と棘下筋を支配する。
- 棘上筋と棘下筋の両方が障害される場合は、肩甲上切痕付近の障害を考える。
- 棘上筋が保たれ、棘下筋だけが萎縮する場合は、棘窩切痕付近での絞扼を疑う。
- 棘下筋萎縮では肩関節外旋筋力低下が重要。
- 肩後面のしこりでは、ガングリオンによる肩甲上神経圧迫も考える。
