32PM100|第32回 柔道整復師国家試験 過去問
表に示す徒手筋力検査(MMT)の結果から考えられる神経絞扼部位はどれか。

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正解: 1
正答
1.回外筋腱弓
この問題のポイント
表では、長橈側手根伸筋はMMT 5で保たれている一方、尺側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋が著明に低下しています。
これは、手関節伸展の一部は保たれているが、手指伸展・母指伸展が強く障害されている所見です。
このパターンでは、橈骨神経本幹の障害よりも、橈骨神経深枝から続く後骨間神経麻痺を考えます。
後骨間神経の代表的な絞扼部位は、回外筋腱弓です。
表の所見
MMTの結果は以下のように整理できます。
- 長橈側手根伸筋:5
- 尺側手根伸筋:1
- 総指伸筋:1
- 小指伸筋:1
- 長母指伸筋:0
- 示指伸筋:0
長橈側手根伸筋は保たれているため、橈骨神経本幹が高位で障害されている所見ではありません。
一方で、総指伸筋、小指伸筋、長母指伸筋、示指伸筋など、後骨間神経が支配する手指伸筋群が高度に障害されています。
このため、障害部位は橈骨神経深枝が回外筋を通過する部位、すなわち回外筋腱弓での絞扼が最も考えやすいです。
解説
橈骨神経は肘周囲で浅枝と深枝に分かれます。
このうち深枝は回外筋を貫いた後、後骨間神経となり、前腕伸筋群、とくに手指や母指の伸筋を支配します。
回外筋の入口部にある線維性の部分が回外筋腱弓で、後骨間神経が絞扼されやすい代表部位です。
この部位はFrohse〈フローゼ〉のアーケードとも呼ばれます。
後骨間神経麻痺では、手指伸展や母指伸展が障害されます。
一方で、長橈側手根伸筋は障害部位より近位で支配を受けるため保たれやすく、手関節伸展そのものはある程度可能です。ただし、尺側手根伸筋が弱くなるため、手関節伸展時に橈側へ偏位することがあります。
また、後骨間神経は主に運動神経であるため、感覚障害が目立ちにくい点も特徴です。
したがって、このMMT所見から考えられる神経絞扼部位は、回外筋腱弓です。
選択肢の確認
1.回外筋腱弓
正しい。
回外筋腱弓は、橈骨神経深枝・後骨間神経の代表的な絞扼部位です。表では長橈側手根伸筋が保たれ、手指伸筋群や母指伸筋群が強く障害されているため、後骨間神経麻痺を考えます。
2.四辺形間隙
誤り。
四辺形間隙を通るのは腋窩神経と後上腕回旋動脈です。障害されると三角筋や小円筋の麻痺、肩外側の感覚障害などを考えます。今回のような手指伸筋群の麻痺とは部位が合いません。
3.ストラザース腱弓
誤り。
ストラザース腱弓は、上腕内側での尺骨神経絞扼部位として問われることがあります。尺骨神経障害では手内在筋の障害や環指・小指側の感覚障害などが問題になります。今回のような後骨間神経麻痺の所見とは一致しません。
4.上腕骨橈骨神経溝
誤り。
上腕骨橈骨神経溝で橈骨神経本幹が障害されると、手関節伸展も障害されやすく、下垂手や手背の感覚障害を伴うことがあります。表では長橈側手根伸筋がMMT 5で保たれているため、橈骨神経本幹の高位障害よりも、より末梢の後骨間神経障害を考えます。
覚えるポイント
- 長橈側手根伸筋が保たれ、手指伸筋群が障害される場合は後骨間神経麻痺を考える。
- 後骨間神経は橈骨神経深枝の続きで、主に手指伸筋群を支配する。
- 後骨間神経の代表的な絞扼部位は回外筋腱弓である。
- 回外筋腱弓はFrohse〈フローゼ〉のアーケードとも呼ばれる。
- 後骨間神経麻痺では感覚障害が目立ちにくい。
- 上腕骨橈骨神経溝の障害では、橈骨神経本幹麻痺として下垂手や感覚障害を伴いやすい。