119D082第119回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

63 歳の男性。右側下唇の知覚鈍麻を主訴として来院した。1 か月前から自覚し、 最近になり増悪してきたという。初診時の口腔内写真(別冊No. 28A)、エックス線 画像(別冊No. 28B)、CT(別冊No. 28C)、MRI T 1 強調像(別冊No. 28D)、FDG- PET/CT(別冊No. 28E)及び生検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 28F、G)を 別に示す。 診断名はどれか。1 つ選べ。

119D082の問題画像
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正解: c

正答

c

この問題のポイント

下唇の知覚鈍麻はオトガイ神経・下歯槽神経障害を示す重要な警告所見です。顎骨内に原発し扁平上皮癌像を示す病変では、原発性骨内癌が診断となります。

解説

原発性骨内癌は、口腔粘膜上皮との初期の連続性を持たず、顎骨内から発生する扁平上皮癌です。歯原性上皮や歯原性嚢胞上皮から生じることがあります。

疼痛、腫脹、歯の動揺、抜歯窩治癒不全に加え、下歯槽神経が侵されると下唇・オトガイ部の知覚鈍麻を生じます。画像では浸潤性骨破壊の範囲を評価し、病理組織で扁平上皮癌を確認します。さらに口腔粘膜や他臓器の原発癌を除外します。

症例問題の解き方
高齢者の進行性知覚鈍麻と顎骨破壊は、炎症だけでなく悪性腫瘍を必ず鑑別します。

画像の確認

実画像A〜Dでは下顎右側臼歯部に境界不明瞭な骨破壊と皮質骨穿破を伴う腫瘤があり、Eで同部に強いFDG集積を認める。病理像F・Gでは顎骨内に浸潤する異型扁平上皮細胞の胞巣がみられ、原発性骨内癌に合致する。

選択肢の確認

a.骨肉腫
本症例の診断とは一致しません。
骨肉腫では類骨形成を伴う悪性間葉系腫瘍像が診断の鍵で、本問の病理像とは異なります。

b.下顎骨骨髄炎
本症例の診断とは一致しません。
下顎骨骨髄炎でも疼痛や知覚異常を生じ得ますが、進行性骨内腫瘍と扁平上皮癌像を説明しません。

c.原発性骨内癌
正答。診断は原発性骨内癌です。
顎骨内を原発とし、扁平上皮癌の病理像を示すため原発性骨内癌が診断となります。

d.エナメル上皮腫
本症例の診断とは一致しません。
エナメル上皮腫は良性歯原性腫瘍で、典型的な上皮胞巣を示しますが、本問の悪性扁平上皮性病変とは異なります。

e.歯原性角化囊胞
本症例の診断とは一致しません。
歯原性角化囊胞は囊胞性病変で、角化上皮による囊胞壁が特徴です。進行性知覚鈍麻を伴う扁平上皮癌像とは一致しません。

覚えるポイント

  • 下唇・オトガイ部知覚鈍麻は下歯槽神経障害の警告所見です。
  • 原発性骨内癌は顎骨内原発の扁平上皮癌です。
  • 粘膜原発癌や遠隔臓器からの転移を除外します。

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