119D076|第119回 歯科医師国家試験 過去問
誤嚥性肺炎の既往がある82 歳の男性に嚥下造影検査を行った。認知症高齢者の 日常生活自立度はⅢである。現在、ミキサー食を全介助にて全量摂取しており、食 事中に時々むせが認められているという。とろみをつけた液体を摂取した際の咽頭 期の嚥下造影検査の写真(別冊No. 24A、B、C、D)を別に示す。 肺炎予防のために推奨されるのはどれか。1 つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
嚥下造影検査でみられる咽頭期の誤嚥を減らすには、患者の機能に合わせて食事時の体幹角度を調整し、食塊の流入速度と気道防御のタイミングを整えます。
解説
高齢者の嚥下では、姿勢が口腔・咽頭内の食塊移送と重力の影響を大きく左右します。リクライニング位や体幹角度、頸部前屈などを組み合わせると、食塊が咽頭へ流入する速度を調節し、舌根部や咽頭壁へ食塊を保持しやすくなることがあります。
本症例は認知症があり、食事は全介助です。複雑な訓練を本人へ求めるより、介助者が再現できる姿勢調整を食事場面へ導入することが実践的です。具体的な角度は嚥下造影検査で最も安全な姿勢を確認して決めます。
肺炎予防のポイント
姿勢調整だけでなく、食形態、一口量、摂取速度、口腔衛生、食後の体位を組み合わせます。
画像の確認
実画像A〜Dの嚥下造影像ではとろみ液が嚥下反射前から咽頭へ流入し、嚥下後も気道侵入の危険を伴う動態が示される。認知症があり全介助で摂取する患者では、体幹角度を調整して重力方向と流入速度を制御することが肺炎予防に有効である。
選択肢の確認
a.交互嚥下
状況により用いますが、本問で最も推奨される対応ではありません。
交互嚥下は性状の異なる食物を交互に嚥下して残留を除く方法で、画像で示された咽頭期誤嚥に対する最も直接的な対応ではありません。
b.胃瘻の造設
状況により用いますが、本問で最も推奨される対応ではありません。
胃瘻を造設しても唾液や逆流物の誤嚥は起こり得るため、肺炎を完全に予防できません。経口摂取中の初期対応として選びません。
c.複数回嚥下
状況により用いますが、本問で最も推奨される対応ではありません。
複数回嚥下は咽頭残留を減らす代償法ですが、本問で示される誤嚥予防の第一選択ではありません。
d.バルーン拡張訓練
状況により用いますが、本問で最も推奨される対応ではありません。
バルーン拡張訓練は食道入口部開大不全に対する訓練であり、本問の病態に一律に行うものではありません。
e.食事時の体幹角度調整
正答。肺炎予防のために推奨されます。
体幹角度を調整すると食塊の流入速度と通過経路を変えられ、咽頭期の誤嚥を減らすことが期待できます。
覚えるポイント
- 食事姿勢は嚥下造影検査で効果を確認して決めます。
- 認知症・全介助患者では介助者が再現できる方法を選びます。
- 胃瘻でも唾液誤嚥による肺炎は起こり得ます。