117C055第117回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

76 歳の女性。上顎前歯部のブラッシング時の出血を主訴として家族と来院した。 半年前から気付いていたが痛みがないためそのままにしていたという。2 年前に Alzheimer 型認知症と診断され近医を受診しているという。2 週前に受診した際の 検査結果は、認知症高齢者の日常生活自立度でⅡbであった。歯周組織検査の結 果、慢性歯周炎と診断し、歯周基本治療を行った。歯周基本治療後の再評価時の口 腔内写真(別冊No. 22A)とエックス線画像(別冊No. 22B)を別に示す。歯周基本治 療後の再評価結果の一部を表に示す。 唇 側* ③ 3 ④④ 3 ④④ 3 ④④ 3 ③③ 3 ③④ 3 ④ 歯 種 3 2 1 1 2 3 口蓋側* ④ 3 ④④ 4 ⑤④ 3 ④④ 3 ④ 3 3 ④④ 4 ④ 動揺度** 0 1 0 0 1 0 * :プロービング深さ(mm) 〇印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 適切な対応はどれか。3 つ選べ。

117C055の問題画像
3つ選択
解答・解説を見る

正解: a・d・e

正答

a、d、e

この問題のポイント

認知症患者の歯周治療では、残存病変への処置だけでなく、家族・介護者を含む継続可能な口腔衛生管理を組み立てます。

解説

認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱbでは、家庭内でも注意や支援が必要となる症状がみられます。本人だけのセルフケアに依存せず、同居家族へブラッシングや補助清掃用具の使用方法を指導します。

再評価で4~5 mm程度のポケットと出血が残る部位には、PTCによる専門的清掃とスケーリング・ルートプレーニングを継続します。侵襲性の高いフラップ手術や再生療法は、病変形態、本人の協力度、術後管理能力を踏まえ慎重に判断します。

高齢者歯科のポイント
認知機能だけでなく、生活自立度、介助者の有無、通院可能性、術後セルフケア能力を治療計画へ反映します。画像所見は問題画像で確認します。

画像の確認

実画像では、上顎前歯の歯頸部にプラーク・着色が多く、歯肉退縮と炎症が残存し、X線像では水平性骨吸収がみられる。認知症患者のセルフケアを補う家族指導と、PTCおよびスケーリング・ルートプレーニングを行う正答a・d・eに対応する。

選択肢の確認

a.PTC
正答。適切です。
PTCにより専門的にプラークを除去し、炎症コントロールを継続します。

b.フラップ手術
この条件では適切ではありません。
残存ポケットは比較的浅く、認知症と術後管理能力を考慮すると、まずフラップ手術を選ぶ状況ではありません。

c.FGF-2 製剤の応用
この条件では適切ではありません。
FGF-2製剤は適切な骨欠損を伴う再生療法に用いますが、本症例で優先する処置ではありません。

d.同居家族への口腔清掃指導
正答。適切です。
本人のセルフケアを補うため、同居家族へ具体的な口腔清掃方法を指導します。

e.スケーリング・ルートプレーニング
正答。適切です。
歯石や感染根面が残る部位へスケーリング・ルートプレーニングを行います。

覚えるポイント

  • 認知症では介助者を口腔管理へ組み込む。
  • PTCとSRPで継続的に炎症をコントロールする。
  • 外科処置は術後管理能力まで考えて選択する。

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