117B085第117回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

44 歳の女性。上下顎前歯部の歯肉腫脹とブラッシング時の出血を主訴として来 院した。6 か月前から自覚していたがそのままにしていたという。初診時の口腔内 写真(別冊No. 31A)とエックス線画像(別冊No. 31B)を別に示す。初診時の歯周組 織検査結果の一部を表に示す。 舌 側* ⑥ 5 ⑧⑦ 5 ⑥⑥ 5 ⑤⑦ 6 ⑥⑥ 4 ⑤⑤ 5 ⑥ 歯 種 3 2 1 1 2 3 唇 側* ⑦ 6 ⑦⑦⑦⑦⑥ 6 ⑥⑥ 6 ⑦⑥ 5 ⑥⑤ 5 ⑤ 動揺度** 2 1 1 1 2 2 * :プロービング深さ(mm) 〇印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 スケーリング・ルートプレーニングによって下顎前歯部に起こり得るのはどれか。 4 つ選べ。

117B085の問題画像
4つ選択
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正解: a・b・d・e

正答

a、b、d、e

この問題のポイント

重度歯周炎に対するスケーリング・ルートプレーニング後は、炎症性腫脹が消退することで歯肉形態と歯の感覚が大きく変化することがあります。

解説

歯肉の浮腫が改善すると歯肉辺縁が根尖側へ移動し、歯肉退縮と歯間鼓形空隙の増大、いわゆるブラックトライアングルが生じます。根面露出により象牙細管が刺激を受け、象牙質知覚過敏が出現することがあります。

また、歯石による見かけ上の固定効果や炎症性組織の支持が失われ、治療直後に動揺が一時的に増加する場合があります。長期的には炎症改善と咬合管理により安定を図ります。

患者説明のポイント
出血や腫れが減る一方、歯が長く見える、隙間が広がる、しみる可能性を治療前に説明します。

画像の確認

実画像では、上下前歯部歯肉が著しく腫脹・発赤し、多量の歯石、歯間離開、歯根長の大半に及ぶ歯槽骨吸収が見える。スケーリング・ルートプレーニングで炎症性腫脹と歯石が除かれると、歯肉退縮、一時的な動揺増加、根面露出による知覚過敏、歯間鼓形空隙増加が起こり得るため、正答a・b・d・eとなる。

選択肢の確認

a.歯肉退縮
正しい。
炎症性腫脹が消退し、歯肉辺縁が根尖側へ移動して歯肉退縮が生じることがあります。

b.動揺度の増加
正しい。
重度歯周炎では歯石除去直後に見かけ上の固定が失われ、動揺度が一時的に増加することがあります。

c.角化歯肉の増大
誤り。
スケーリング・ルートプレーニングによって角化歯肉の幅が増大するわけではありません。

d.象牙質知覚過敏
正しい。
根面露出により象牙細管が刺激を受け、象牙質知覚過敏が生じることがあります。

e.歯間鼓形空隙の増加
正しい。
歯間乳頭部の腫脹が消退すると、歯間鼓形空隙が増大して見えることがあります。

覚えるポイント

  • SRP後は歯肉退縮とブラックトライアングルが起こり得る。
  • 根面露出で知覚過敏が生じることがある。
  • 重度例では動揺が一時的に増える場合がある。

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