117B078|第117回 歯科医師国家試験 過去問
4 歳の男児。上顎乳前歯部の歯肉腫脹を主訴として来院した。1 年前に同部を転 倒により強打したという。A に対する治療方針として保護者に抜歯の必要性を説 明したが、抜歯はしたくないという。初診時の口腔内写真(別冊No. 29A)とエック ス線画像(別冊No. 29B)を別に示す。 このまま抜歯を行わない場合に起こりうる 1 の異常はどれか。2 つ選べ。

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正解: a・e
正答
a、e
この問題のポイント
乳歯の外傷後感染は、乳歯根尖に近接する後継永久歯胚の発育と萌出に影響します。
解説
4歳児の上顎乳前歯部で、外傷歴と歯肉腫脹がある場合、乳歯の歯髄壊死や根尖部感染を考えます。感染源を残すと、後継永久中切歯の歯胚周囲に炎症が波及し、萌出経路が障害されて埋伏したり、正常な位置から外れて萌出したりする可能性があります。
永久歯胚のエナメル質形成障害や歯冠形態異常を生じることもあります。保護者には、乳歯を残す利益だけでなく、後継永久歯へのリスクを説明します。
小児歯科でのポイント
乳歯の治療判断では、その歯だけでなく後継永久歯胚を守る視点が必要です。
画像の確認
実画像では、外傷歴のある上顎乳前歯の根尖部に大きな透過像があり、その直上の後継永久中切歯胚に近接して萌出経路を乱している。感染源を残すと永久歯胚が正常な経路を進めず、埋伏または萌出位置異常を生じ得るため、正答a・eにつながる。
選択肢の確認
a.埋 伏
正しい。
乳歯根尖部の感染が永久歯胚周囲へ波及すると、萌出経路が妨げられて永久歯が埋伏することがあります。
b.歯根吸収
誤り。
本問で問われる後継永久歯の代表的異常は埋伏と萌出位置異常で、歯根吸収は選びません。
c.歯髄壊死
誤り。
後継永久歯の歯髄壊死は、乳歯感染を放置した際の典型的な発育異常ではありません。
d.歯髄腔狭窄
誤り。
歯髄腔狭窄は外傷を受けた生活歯の石灰化変性などでみられますが、後継永久歯への代表的影響ではありません。
e.萌出位置異常
正しい。
炎症や乳歯の残存により永久歯の萌出方向が変化し、異所萌出する可能性があります。
覚えるポイント
- 乳歯根尖部は後継永久歯胚に近い。
- 乳歯感染の放置で永久歯の埋伏・萌出位置異常が起こり得る。
- 保護者には永久歯への影響まで説明する。