117B055|第117回 歯科医師国家試験 過去問
14 歳の男子。下顎左側臼歯部の歯肉の腫脹を主訴として来院した。3 か月前か ら自覚していたが、徐々に増大してきたという。初診時の口腔内写真(別冊No. 17 A)、エックス線画像(別冊No. 17B)、CT(別冊No. 17C)及び生検時のH-E 染色 病理組織像(別冊No. 17D)を別に示す。 診断名はどれか。1 つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
若年者の下顎臼歯部に生じる膨隆性の歯原性病変では、エナメル上皮腫を重要な鑑別に挙げます。
解説
エナメル上皮腫は良性ですが局所浸潤性があり、下顎大臼歯から下顎枝部に好発します。画像では単房性または多房性の透過像、顎骨膨隆、歯根吸収や歯の移動を示すことがあります。
病理では、周辺部に柵状配列する円柱状細胞と、その内側に星状網様組織に似た細胞を認める濾胞型などが代表的です。若年者では単嚢胞型もみられます。
画像・病理像で見るポイント
年齢、部位、単房性か多房性か、歯との関係、上皮胞巣の周辺柵状配列を確認します。
画像の確認
実画像では、下顎左側臼歯部から下顎枝に境界明瞭な膨隆性透過像が広がり、CTで頰舌側皮質骨が著しく菲薄化している。病理像には周辺の柵状配列と内部の疎な細胞を伴う歯原性上皮胞巣が見え、エナメル上皮腫の正答dに一致する。
選択肢の確認
a.顎骨中心性癌
誤り。
顎骨中心性癌は悪性病変で、境界不明瞭な骨破壊や神経症状などを伴うことがあります。
b.歯原性線維腫
誤り。
歯原性線維腫は線維性間質を主体とする比較的まれな良性歯原性腫瘍です。
c.歯原性粘液腫
誤り。
歯原性粘液腫は粘液性間質を主体とし、画像では多房性透過像を示すことがありますが、病理像が異なります。
d.エナメル上皮腫
正しい。
若年者の下顎臼歯部に生じる膨隆性病変で、画像・病理所見を合わせるとエナメル上皮腫が適切です。
e.歯原性角化囊胞
誤り。
歯原性角化嚢胞は前後方向に進展しやすく、著明な骨膨隆が比較的少ないことがあります。病理では錯角化上皮が特徴です。
覚えるポイント
- エナメル上皮腫は下顎大臼歯から下顎枝に好発する。
- 良性でも局所浸潤性がある。
- 病理では周辺柵状配列と星状網様構造を確認する。