116C085|第116回 歯科医師国家試験 過去問
歯科臨床歯周病学
81 歳の男性。舌の汚れを主訴として家族とともに来院した。8 年前に診断され た慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉に対して気管支拡張薬、3 年前に診断された Alzheimer 型認知症に対してコリンエステラーゼ阻害薬を処方されているという。 口腔内検査では歯と歯周組織には異常を認めなかったため、家族に対して口腔衛生 指導を行った。初診時、2 週後および4 週後の舌の写真(別冊No. 36)を別に示す。 改善が期待できるのはどれか。1 つ選べ。

解答・解説を見る
正解: a
正答
a
この問題のポイント
舌苔の減少によって最も直接改善が期待できるのは、揮発性硫黄化合物に由来する口臭です。
解説
舌背は細菌、剝離上皮、食物残渣が蓄積しやすく、舌苔内の嫌気性菌が硫化水素やメチルメルカプタンなどを産生します。適切な舌清掃で舌苔が減少すると、口腔由来の口臭改善が期待できます。
過度な舌清掃は粘膜損傷や嘔吐反射を起こすため、介護者には奥から手前へ軽い力で行う方法を指導します。
画像の確認
実画像では、初診時に舌背中央から後方を厚い黄白色舌苔が広く覆っているが、2週後には範囲と厚みが減り、4週後には桃色の舌背が大部分露出している。この経時的な舌苔減少は細菌・残渣による揮発性硫黄化合物の発生源を減らすため、最も直接的に改善が期待できるのは口臭である。
選択肢の確認
a.口 臭
正しい。舌苔は口腔由来口臭の主要な発生源であり、減少により口臭改善が期待できます。
b.咬合力
誤り。舌清掃だけで咬合力は増加しません。
c.嚥下機能
誤り。舌清掃は衛生管理であり、嚥下機能を直接訓練するものではありません。
d.呼吸機能
誤り。COPDの呼吸機能は舌苔除去によって直接改善しません。
e.唾液分泌
誤り。舌清掃は唾液腺機能を直接増強する処置ではありません。
覚えるポイント
- 舌苔は口臭の主要発生源。
- 舌清掃で揮発性硫黄化合物を減らす。
- 高齢者では介護者へ安全な清掃方法を指導する。