115D033|第115回 歯科医師国家試験 過去問
62 歳の男性。舌の異常を主訴として来院した。 1週前に歯科治療時に指摘され、 精査を勧められたという。自覚症状はなく、圧痛は認めないが周囲に比べやや硬 い。初診時の口腔内写真 (別冊No. 5A と生検時のH-E 染色病理組織像 (別冊No. 5 B を別に示す。 診断名はどれか。 1つ選べ。

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正解: a
正答
a
この問題のポイント
舌の白色病変では、病変が擦過で除去できるか、網状か板状か、単発か両側性かを確認し、病理像で角化、上皮異型、浸潤の有無を評価します。
解説
62歳男性で、自覚症状や圧痛はありません。口腔内写真では舌側縁に境界が不整な板状の白色病変がみられます。病理組織像では角質層の肥厚と上皮の肥厚がみられますが、提示範囲では明らかな浸潤性腫瘍胞巣は認めません。これらは白板症に合致します。
白板症は、他の疾患として診断できない、擦過で除去できない白色病変という臨床診断です。病理組織学的には単純な過角化から上皮性異形成まで幅があり、舌側縁は悪性化に注意する部位です。生検で異形成の程度を評価し、危険因子の除去と継続的な経過観察が必要です。
病理像で見るポイント
表層の角化亢進、上皮脚の形態、基底側の極性、核異型、基底膜を越える浸潤の有無を順に確認します。
画像の確認
実画像では、舌側縁に境界不整な厚い板状白色病変があり、組織像では表層角化と上皮肥厚が目立つ一方、提示範囲に明瞭な浸潤胞巣はない。この組合せは白板症を選ぶ正答aを支える。
選択肢の確認
a.白板症
正しい。
舌側縁の擦過で除去されないと考えられる板状白色病変と、過角化を主体とする病理像が一致します。
b.平上皮癌
誤り。
扁平上皮癌では異型扁平上皮細胞の浸潤性増殖や癌真珠などを認めます。提示病理像では明らかな浸潤像が確認できません。
c.口腔 扁平苔癬
誤り。
口腔扁平苔癬は両側性の網状白斑を呈することが多く、病理では基底細胞の液状変性と上皮直下の帯状リンパ球浸潤が特徴です。
d.口腔カンジダ症
誤り。
偽膜性カンジダ症の白苔は擦過で除去できることが多く、病理では菌糸や胞子を確認します。本画像の限局した角化性白斑とは異なります。
e.白色海綿状母斑
誤り。
通常は若年期から両側頬粘膜などに広く生じる遺伝性の白色・海綿状病変です。62歳で舌に単発した本症例とは合いません。
覚えるポイント
- 白板症は他疾患を除外して診断する臨床的な白色病変です。
- 舌側縁の白板症では上皮性異形成と悪性化に注意します。
- 病理では角化、異形成、基底膜を越える浸潤を確認します。