115B081第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

60 歳の女性。上顎左側臼歯部の違和感を主訴として来院した。 2年前から自覚 していたがそのままにしていたという。診察と検査の結果、慢性歯周炎と診断し歯 周基本治療を行った。初診時の口腔内写真 (別冊No. 36A とエックス線画像 (別冊 No. 36B を別に示す。再評価時の歯周組織検査結果の一部を表に示す。 2頰 側* ⑥ ⑨ ⑧ 歯 種 56⑤34口蓋側* 3⑤ 動揺度** 00* :プロービング深さ (mm )〇印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 6に対する治療方針として考えられるのはどれか。 2つ選べ。

115B081の問題画像
2つ選択
解答・解説を見る

正解: a・b

正答

a、b

この問題のポイント

上顎大臼歯に高度な歯周組織破壊がある場合、歯全体の保存可能性と、障害された歯根だけを除去して残せるかを検討します。治療方針としては、抜 歯または歯根切除が考えられます。

解説

歯周基本治療後も深い歯周ポケット、プロービング時出血、骨吸収が残る場合は、再評価時に歯の予後を判定します。上顎大臼歯は通常3根であるため、病変が一つの歯根に限局し、残る歯根の支持が良好であれば、問題のある歯根だけを切除して歯冠を保存できることがあります。

歯根切除では、上顎大臼歯のうち保存困難な1根を分岐部から除去し、残存根で歯冠を支持します。実施には、残存根の骨支持、歯内療法の可否、歯冠修復設計、清掃性、咬合負担を慎重に評価する必要があります。

一方、複数根に広範な骨吸収がある、動揺が大きい、清掃性を確保できない、残存根だけでは支持が不十分などの場合は、歯根切除による長期保存が困難であり、抜 歯が適応になります。

画像の確認

実画像では、上顎左側第一大臼歯周囲に歯肉退縮と歯間部の大きな組織欠損があり、エックス線写真でも複数根周囲に高度な骨支持喪失がみられる。検査表では頰側に9 mm・8 mmのポケットと出血、動揺度1が残るため、保存限界なら抜歯、障害が一根に限局して残存根を利用できれば歯根切除というa、bの方針を支える。

選択肢の確認

a.抜 歯
正しい。
歯周組織破壊が広範で、残存支持が不足し保存予後が不良な場合に選択します。

b.歯根切除
正しい。
病変が特定の歯根に限局し、他の歯根と歯冠を利用できる場合は、障害された歯根だけを除去して保存を図れます。

c.歯根分離
誤り。
歯根分離は主に下顎大臼歯の近心根と遠心根を分割して清掃性や修復性を改善する処置です。上顎大臼歯の本症例で考える代表的処置ではありません。

d.トンネリング
誤り。
根分岐部を貫通させて清掃可能にする処置ですが、十分な根間距離、短いルートトランク、良好な清掃能力など厳しい適応条件があります。本症例の高度病変に対する主要方針ではありません。

e.エナメルマトリックスタンパク質の応用
誤り。
歯周組織再生療法に用いますが、高度な根分岐部病変や保存困難な歯根に対し、単独で確実な予後改善を期待する処置ではありません。

覚えるポイント

  • 上顎大臼歯では、限局した1根の病変に歯根切除を検討できます。
  • 残存根の支持と清掃性が不十分なら抜歯を選択します。
  • 根切除は歯周・歯内・補綴・咬合を統合して適応を判断します。

関連問題

115B080115B082
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)