115A089|第115回 歯科医師国家試験 過去問
歯の形態異常の精査を希望して来院した患者の口腔内写真 (別冊No. 35A とエッ クス線画像 (別冊No. 35B を別に示す。 考えられるのはどれか。 1つ選べ。

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正解: a
正答
a
この問題のポイント
口腔内写真の深い陥凹と、エックス線画像で歯冠内部へ入り込む歯質様構造を確認します。これは歯の形成時に歯冠表面が内側へ陥入する歯内歯です。
解説
歯内歯は、歯の形成過程でエナメル器が歯乳頭側へ陥入して生じる形態異常です。英語ではdens invaginatusと呼ばれます。
画像では、歯冠表面に深い小窩がみられ、エックス線画像ではエナメル質や象牙質に囲まれた陥入部が歯冠内部から歯根方向へ入り込んでいます。このため「歯の中にもう一つの歯がある」ように見えます。
上顎側切歯に好発し、陥入部は清掃しにくく、細菌が深部へ到達しやすい構造です。外見上の齲蝕が小さくても早期に歯髄炎や歯髄壊死、根尖性歯周炎を生じることがあります。歯髄が健全な段階では小窩裂溝の予防填塞を検討し、歯髄疾患を生じた場合は複雑な根管形態を考慮して治療します。
画像の確認
実画像では、形態異常を示す上顎前歯の口蓋面中央に深い小窩・陥入があり、エックス線写真ではエナメル質・象牙質様の不透過線が歯冠から歯根内部へ折れ込む像を示す。歯の組織が内側へ陥入した特徴から、歯内歯を選ぶ根拠になる。
選択肢の確認
a.歯内歯
正しい。
歯冠表面が歯の内部へ陥入する形態異常です。口腔内の深い小窩と、エックス線画像で歯冠・歯根内へ入り込む硬組織性の陥入像が一致します。
b.栓状歯
誤り。
栓状歯は歯冠全体が小さく円錐形または栓状を示す矮小歯です。上顎側切歯などにみられますが、歯の内部へエナメル質・象牙質が陥入する像は示しません。
c.双生歯
誤り。
双生歯は一つの歯胚が分裂しようとして生じるため、歯冠が大きく二分されたような形態や切痕を示します。画像のような歯冠内部への陥入が主体ではありません。
d.中心結節
誤り。
中心結節は主に小臼歯の咬合面中央から突出する過剰結節で、歯質が外側へ突出する形態異常です。歯内歯は反対に歯質が内側へ陥入します。
e.Fournier 歯
誤り。
Fournier 歯は先天梅毒に関連する臼歯の形成異常で、第一大臼歯の咬合面に多数の小結節を認める桑実状の形態が代表的です。本症例の陥入像とは異なります。
f.Carabelli 結節
誤り。
Carabelli 結節は上顎大臼歯の近心舌側咬頭の舌側面にみられる過剰結節です。歯冠内部へ陥入する形態異常ではありません。
g.Hutchinson 歯
誤り。
Hutchinson 歯は先天梅毒に関連する永久切歯の形態異常で、ドライバー状の歯冠と切縁中央の半月状切痕が特徴です。画像の深い陥入構造とは異なります。
覚えるポイント
- 歯内歯は歯質が内側へ陥入する形態異常です。
- 上顎側切歯に好発し、深い小窩から早期に歯髄感染を起こすことがあります。
- 中心結節は外側への突出、歯内歯は内側への陥入と整理します。